新しいマンションが建ち並ぶ駅前
日根野駅があるのは大阪府泉佐野市。ご存知、ふるさと納税を巡るあれこれで話題沸騰の街である。とは言っても日根野駅周辺は泉佐野市の中心市街地とは遠く離れているようで、駅前は実にのどかなもの。少し古びた橋上駅舎から東側に出ると、広々としつつも閑散としたロータリーが広がり、その向こうには大きなマンションが建っている。線路に沿って北に少し歩けばイオンモールもあるようだ。近くには目下建設中のマンションも。イオンがあって始発列車も多く、大阪中心部まで1時間かからないとなれば通勤圏内としては充分なのだろう。これまで見てきた首都圏の終着駅ともよく似ている。
駅前の広場を歩いていると、その一角に阪和線の電車が描かれた小さな建物。なにかと思って近づいてみれば、どうやらトイレのようだ。駅前の公衆トイレを車両に模すあたり、車両基地のある“鉄道の街”らしい取り組み。こうしたところも車両基地とともにある終着駅らしさというべきだろうか。
なぜか踏切には5カ国語のカンバンが
と、まあそんなものかと思いながら駅前広場の片隅の観光案内板を見てみると、日根野には鎌倉時代から戦国時代にかけて五摂家のひとつ・九条家の荘園(日根荘)があったという。そして駅前広場やマンションのあたりは溜池だったとか。う~む、意外と歴史が古い日根野なのだ……。
そう思っていたら、警報音とともにすぐ近くの踏切の遮断器が降りた。そして、英語や中国語、韓国語での音声放送も聞こえてくる。近づいてみると、踏切の横には日・英・中・韓の4ヶ国語に加えてタイ語も書かれた説明板。日本語を読むと、「警報機が鳴り始めたら踏切に入らないで下さい。踏切から直ちに出て下さい。」と書かれている。この注意書きくらいならまだわかるが、音声でも注意を喚起するとはなかなかの徹底ぶりである。いったいこの、のどかな郊外の小さな駅がなぜこれだけインターナショナルなのだろうか。