「きのう何食べた?」は原作のマンガから読んでいた。


 このマンガを知ったキッカケは、僕と夫(婚姻届は不受理となったが、公正証書で婚姻契約を結ぶ実質夫)が、地元江戸川区でLGBTについて理解を広げようと、開催している「LGBTについて考えてみません会」というイベントに参加してくれた年配の女性が、この本を紹介してくださったことだった。

 イベント参加者の自己紹介の時、その方は大切そうに、カバンから「きのう何食べた?」のマンガを数冊取り出して、こう言った。

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「このマンガを読んで、LGBTのことを学んでみようと思い、本日参加させていただきました」

 それから僕も「きのう何食べた?」を読むようになった。

生活の基本は、ただ、「食って、寝て、仕事をする」。

きのう何食べた? 著 よしながふみ

「きのう何食べた?」の主人公は、ゲイのカップルだが、その世界観は、いわゆる「腐女子」や「腐男子」が喜びそうな、BL(ボーイズラブ)とは全く違う。「美味しんぼ」のように、料理がメインなのだけど、「究極のメニュー」とか「美食倶楽部」といった豪華なものではなく、庶民的なメニューが多く紹介される。主人公のシロさんは立派な主夫で、いわゆる倹約家なのだ。

 僕が一番注目したいのは、西島秀俊さん演じる筧史朗(シロさん)と、内野聖陽さん演じる矢吹賢二の主人公の、ゲイカップルとしての「生活」だ。

 ゲイを見たことがない! 身近にはいない! という人が日本では大半を占める(実際は、日本の人口の3%~8%がLGBTQだと言われているので、知らないだけで、身近にはいる)。そういう多くの人にとって、ゲイカップル・ゲイ夫夫(ふうふ)の「生活」は未知で、想像がつかないものかもしれない。

 そんな中、劇中のシロさんと賢二の描写は、リアルなゲイカップルのそれにかなり近い生活をみせてくれていると思う。

現に、僕は「ゲイ夫夫(ふうふ)の日常」と題したブログをほぼ毎日書いているが、どうしても「今日は何食べたよー」みたいな内容が多くなる。

 なぜなら「生活する」ということに関しては、ゲイのカップルや夫夫(ふうふ)も、男女のカップルや夫婦と変わらない。いろんな家族の形があるのだが、その多くの生活の基本は、ただ、「食って、寝て、仕事をする」。これだけだからだ。