悩みの描き方もリアル
そんな中で、仕事の問題や、家族の問題が日々繰り広げられる。「きのう何食べた?」では、同性カップルであるがゆえの問題や悩みなどにも多く触れている。そうした悩みの描き方もリアルなのが、このドラマの魅力ともいえる。
特に、親との関係、相手方の親との関係、職場でのカミングアウトの有無、友人関係など、これは本当に人それぞれで、悩みが違ってくる。
シロさんは両親にはカミングアウト済みだが職場では沈黙している。
沈黙をしているが故のスリルも、フルオープンにしている僕にとってはとても懐かしい刺激に感じる。
シロさんは立派な主夫だと前にも述べたが、僕は彼を見習わなくてはならないところがたくさんある。
我が家では、僕が料理を作る担当なので、立場的にはシロさんの立場になるのだが、シロさんは家の冷蔵庫の中身をきちんと把握しているのに対して、僕はよく忘れてしまう。
「わさび無いかもしれないから買っとこう!」とチューブのわさびを購入して帰宅後、冷蔵庫を開けて驚愕した。使っていないチューブのわさびが2本もあったのだ。
そのくせ、サランラップなんかは、いつも買い忘れて、ラップのない期間が1週間や2週間続くこともある。
僕なんかは「あーあ! また忘れちゃった!」と、そこまで落ち込まないが、もしシロさんが同じあやまちをしたのなら、自分を呪ってしまいそうだ。
寝室別の原作の設定
ゲイカップルの生活も、男女の生活とさほど変わらず、基本は「食って、寝て、仕事に行くのだ」と述べたが、ゲイに対して変な偏見がある人だと、「寝て」というところで、違う意味を想像する人も少なくないのではないかと思う。ゲイだと言うと性生活の話をずけずけと聞かれたり、「男同士だからお盛んそう」と言われたり、一風変わった性生活を送っていると思われがちだ。しかし、それは完全に個人差だ。結婚4年目の我が家の夫夫関係は「お盛ん」とはかけ離れている。
「きのう何食べた?」のシロさんと賢二の2人はというと、原作では寝室が別なのだ。この設定がリアルで僕は大好きなのだが、ドラマでも、シロさんが風邪をひいてベッドで寝ているシーンでは、シングルベッドに寝ているようにみえた。寝室別の原作の設定はドラマでも守られているのではないかと思って嬉しくなった。