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朝日新聞が持ち上げた韓国の“青年弁護士”が、徴用工裁判で反日活動家になるまで

ルポ・徴用工裁判「その不都合な真実」 #2

2019/05/29
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日韓関係を悪化させたことについてどう考えるのか

 徴用工裁判の判決は、決して遺族に対して福音にはなっていない。ごく一部の被害者だけが救済されるという格差を生むばかりではなく、日韓関係が悪化したことで2プラス2協議の実現は夢物語と化している。多くの被害者・遺族にとっては希望が遠のく事態になっているのだ。

 そのスタンドプレーを非難する声に対して、チェ・ポンテ氏はこうメディアで弁明している。

「春が来る前には、冷え込みの厳しい日もある。日韓間はやや冷え込んでいるかもしれませんが、被害者が救済される春がすぐそこまで来ている、というのが私の認識です」

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 はたして徴用工裁判の真意はどこにあるのか。チェ・ポンテ氏を電話で直撃した。

――裁判で日韓関係を悪化させたことについてどう考えるのか。

「(原告が)三菱重工業によって人権侵害を受けたにもかかわらず、現在まで救済されていないので、人権救済をすべき状況になって訴訟を起こしたのだ」

――テグ地域で文在寅の選挙支援を行っていたのは事実か。

「当時、文在寅弁護士が民主陣営から候補に出たので、自分なりに支援はしました」

大統領選挙キャンペーン中の文在寅氏 ©getty

日韓請求権協定を否定するのか

――太平洋戦争の遺族から裁判のために出資金を集めたのは事実か。

「その当時、被害者たちが(太平洋戦争被害者遺族らが)自分たちの権利を主張するためには、力を合わせなければならなかったため、100万ウォンずつ出資して共済組合を作りました。訴訟をするためにお金を集めたという話は正しくない間違った話です。出資金はすべて返還していった状況である」

――日韓条約で決められた日韓請求権協定を否定するのか。

「(日韓基本条約を結んだ)1965年当時は、冷戦体制の下で韓日関係を設定したので、実質的に被害者の救済に対してはきちんとできていない。そういう状況で被害者たちを救済することが今後の韓日関係を正しくする(きちんと作る)土台になると私たちは思います。韓日関係を未来志向的にするために、その間に解決しなかった課題を解決することなのに……」

 取材のなかで彼は、繰り返し日韓基本条約を否定する言葉を繰り返した。しかし被害者を救済することができなかったという意味では、真相糾明委員会事務局長として実務に携わっていた彼自身にも一定の責任があったはずだ。

 チェ・ポンテ氏らが煽る徴用工問題の過熱化や、日韓基本条約の否定は国交の否定にも繋がりかねない危険な思想だ。

 彼の元支援者は、こう寂しそうに呟いた。

「チェ・ポンテ氏は被害者を利用して有名になり、実力を得た男です。その過程を見ていると、彼は自分が有名になるためにパフォーマンスをしているとしか思えないのです」

 いったい誰のための裁判なのか――。

朝日新聞が持ち上げた韓国の“青年弁護士”が、徴用工裁判で反日活動家になるまで

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