「文在寅の選挙応援をしているとも聞きました」
真相糾明委員会事務局長を辞した後、チェ・ポンテ氏はその馬脚を現すようになる。
「真相糾明法のもとで行われた戦争被害者補償は不十分な内容になりそうだと分かったときのことでした。元事務局長のチェ・ポンテに『おかしいじゃないか』とみなが訴えたところ、『韓国政府が決めたことだから仕方ない』と取り合おうとしない。その後、文在寅の選挙応援をしているとも聞きました。結局、彼は権力に弱い日和見主義者なのです」(遺族会会員)
あるときチェ・ポンテ氏は、自身の別荘に戦争被害者遺族を集め、こう演説をしたという。
「これで補償は終わりではありません。まだ個人請求権は残っています。みんなで共済組合を作るのです。そのためには、100万ウォン(約10万円)を出資してください。元本は保証いたします。これから多くの裁判を行うためにお金が必要なのです」
別荘には銀行員が立ち会っており、徴収された金額の処理を行っていた。呼びかけに応じ、おおよそ100人の被害者や遺族が出資を行ったという。
参加した遺族の一人である金祐河氏(仮名)が証言する。
「大事な家族を戦争で失ったわけですから、私たち遺族は政府から支給された2000万ウォン(約200万円)の補償金では少ないと感じていました。そうした想いをチェ・ポンテ氏は利用したのです。私たちが2000万ウォンのお金を持っていることも彼は知っていた。だから『そのお金の一部を出資して裁判でもっとお金を得ましょう』ともちかけてきたのです。ところが、いくら裁判をしても負けてばかり。これは詐欺じゃないか、と返金を求める声が殺到したのです」
謙虚に話していた青年弁護士は、いつしか反日活動家へと変貌していた
日本政府や韓国企業、そして日本企業などに裁判を乱発するようになったチェ・ポンテ氏。その節操のない行動に対して、次第に懐疑的な視線が注がれるようになっていく。
「彼の持論は、戦後補償問題は『2プラス2』で解決すべきだ、というものでした。つまり韓国政府と韓国企業、そして日本政府と日本企業、この四者協議で取組むべきだというのです。彼は政府委員をしていたわけだし、その腹案を実現すると期待されていました。ところが、チェ・ポンテはそんな持論はどこ吹く風とばかりに、あたり構わず裁判を乱発し始めた。どこが2プラス2なんだ、と呆れ返る声が出始めたのです」(チェ・ポンテの元支援者)
2018年11月、韓国大法院は三菱重工業に対して元徴用工らへの損害賠償を命じた判決を出した。この原告代理人を務めたのが、チェ・ポンテ氏だった。
彼は今年3月には徴用工問題を国連に持ち込むと語り、「人権の観点から同社と徴用政策を進めた日本政府の責任を浮き彫りにし、同社が判決を無視できない環境を作る」とメディアに答えている。朝日新聞に「日本に不可能な要求をすべきではない」と謙虚に話していた青年弁護士は、いつしか反日活動家へと変貌していた。
「光州でも勤労女子挺身隊が損害賠償裁判を起こしています。この裁判の仕掛け人はチェ・ポンテに近い人物です。
韓国国内では徴用工問題を『日本によって奴隷にされた人達』と喧伝し“反日”感情を煽ります。しかし、徴用工の真偽を確認するのは難しい作業なのです。物証がない場合は、韓国では隣人2人の証言があれば事実と認められています。そんな大雑把な事実認定がまかり通ってしまう。三菱重工業裁判の勝利によって、日韓の葛藤だけを増やす裁判が激増する事態になっているのです」(同前)