しかし、F35は「未完成の機体」と言われている。今年4月、航空自衛隊によって導入されたF35の1号機が訓練中に青森県沖に墜落した。最終検査は日本人技術者が締め出されて米側だけで行われており、事故の真相はわかっていない。米会計検査院(GAO)は昨年1月、F35に未解決の欠陥が966件あると発表している(現代ビジネス 4月11日)。ワシントンの非営利組織「政府監督プロジェクト」で軍改革について研究するウィンスロー·ウィーラー氏は、F35を「重くて動力不足の失敗作」と呼ぶ(ロイター 2014年7月16日)。
安倍晋三 首相
「日米同盟はこれまでになく強固になった。『かが』の艦上に我々が並んで立っていることが証しだ」
日本経済新聞 5月28日
28日、安倍首相とトランプ大統領は海上自衛隊の横須賀基地を訪れ、護衛艦「かが」を視察。「かが」は事実上の空母化が決まっており、F35Bの搭載が可能になる。安倍首相は「かが」の甲板でトランプ大統領と並んで日米同盟を誇ると、トランプ大統領も「力による平和が必要だ」と親指を立てながらアピールした。セールスがうまくいったガッツポーズだったのかもしれない。
ドナルド・トランプ 米大統領
「過去2年間はゼロでした。私はその現状には満足しています。だから短距離ミサイル(の発射)は気にしていない」
産経新聞 5月27日
「日米の立場は完全に一致している」と日米同盟の「強固な絆」ぶりをアピールし続けた安倍首相だが、肝心の北朝鮮に対しては明確にスタンスの差が明確だった。今月上旬の北朝鮮による短距離弾道ミサイル発射に関して、トランプ大統領は「気にしない」と言い切った。
トランプ大統領お得意の「ディール(取引)」にやられっぱなし?
「国連安全保障理事会決議違反かもしれないが、そんなことはどうでもいい。北朝鮮がもはや核実験や長距離ミサイルの発射をしていないということが、私が理解する全てだ」とまで語っていた。安倍首相は「決議違反で極めて遺憾だ」と表明している。
安倍首相にひたすら「おもてなし」を受けたトランプ大統領だが、貿易については大幅な譲歩を迫り、日米同盟をアピールしつつ高額な戦闘機を買わせたが、北朝鮮についてはそれほど関心を示さなかった。すべては来年に迫った自身の米大統領選のためだと考えることができる。
北朝鮮問題ではトランプ大統領と足並みが揃わない安倍首相だが、来月には米国と対立するイランを訪れて緊張緩和に向けた仲介役を果たすのだという。トランプ大統領お得意の「ディール(取引)」にやられっぱなしのように見えるのは、気のせいか?