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「金払ってるんだからいいだろう」という態度のおじさんは最低

ジョニ男 いや、雰囲気を壊したくないんです。それは寿司屋に行っても……若者がカウンターのある寿司屋にいるのはちょっと……とかあるじゃないですか。スワロフスキーっていうの? ああいうのでデコレーションされた携帯を寿司屋のカウンターにポンと置いたりされると、ちょっと待ってくれよと。まだ回る寿司屋の方がいいぞと思いますよね。俺だって最近だぞ。

――“ジョニ男’sルール”がある。

ジョニ男 ありますね。人には言えないですけど、強要できないから。あ、後輩には言うな。アイコスだからって、断らずに吸うなよとか。

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――細かい! だけど正しい!

ジョニ男 おじさんでもあります。「金払ってるんだからいいだろう」という態度のおじさん、もう最低ですよね。ああいう大人だけはなりたくないなと思いますよ。年とってくるとだんだんひどくなる。

 

――「金払わないし、威張る」みたいな人もいますし。

ジョニ男 ええ! それはダメだ。せめて面白かったらね、それが。「もうまたですかぁ?」って。うちの事務所の剛州さんという人がそうです。ウドさんにずっとお金を払わせて、ウドさんの家に居候して、後輩にもずっとおごってもらい続けているけど、「またですかぁ」を言える人だから。そういう人はやっぱいい……いや良くないか、剛州さん。

――キャラクターですかね、許される許されないは。

ジョニ男 そう、キャラで、なんか放っておけないという。

「売れて偉そうになってしまう自分が怖い」

――剛州さんはちょっとレベルが高いですが、でもジョニ男さんのように、無理せず自然な大人になりたいと思う若者は多いと思います。

ジョニ男 僕なんか負け犬の遠吠えですが。結構早めに自分のことがわかって、がっかりもしましたけど。

――がっかりした?

ジョニ男 ケンカが強いとか、スポーツができるとか、あと勉強ができるとか、そういうのが何ひとつもないから。人間はたぶん防衛本能みたいなものから、お笑いを編み出したんじゃないでしょうか。あいつ何もできなけど、面白いからいいじゃん、みたいなね。自分の人生を見ていてそう思うんです。

 

――あいつあんまり食料取ってこないけど、まいっか面白いから、みたいな。

ジョニ男 そうそうそうそう。縄文時代とか外が暗いから、あいついると夜が楽しいなって。

――土器作るのは下手くそだけど。

ジョニ男 手先がね、不器用だから(笑)。今の時代もいつの時代もそういう人はいて、生き残っていくにはそれしかなかったんじゃないかな。

――今はそういう人の方が時代のメインになってきてる気がします。偉そうにしないとか、周りを盛り上げようとするとか。

ジョニ男 そういう人でも権力を持つと人間が変わっちゃうじゃないですか。それが嫌なのかもしれないですね、僕は。だから売れるということを1個諦めた。売れて偉そうになってしまう自分も怖いし。絶対ならないけどね、もう。

――売れて偉そうになるのは、ダサいですね。

ジョニ男 それだったらならない方がいい。永遠係長でいいわけですよ。

――あ、この本も売れすぎちゃうとちょっと困る……。

ジョニ男 そ、それは! いやぁ売れて欲しい。それはもう、協力してくれた方への恩返しです!

写真=榎本麻美/文藝春秋

幻の哀愁おじさん

岩井 ジョニ男

文藝春秋

2019年4月23日 発売