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「失敗したっていい。だって現世は来世の練習だから」――岩井ジョニ男の生き方

『幻の哀愁おじさん』岩井ジョニ男インタビュー #2

2019/06/16

genre : エンタメ, 芸能

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――そこはもしかしてショーバブではなく……

ジョニ男 ホストクラブでした(笑)。「つ~まさ~きた~て~て海へ~~」とかやりながら、これお笑い芸人になれるのかなって疑問に感じ始めて。酒飲まされて、すっごい辛いし。それでも10カ月ぐらい働きましたかね。ちょうどその頃よくタモリさんの本を読んでました。タモリさんがすごく気になっていたんですよ。「シュールレアリズムとか大したことない」とか言ってて。不思議な人だな、面白いなって。偶然そこのお客さんがタモリさんの家を知ってて、そこから……

――例の、「付き人にしてください」行脚が始まるわけですね(詳しくは『幻の哀愁おじさん』参照)。

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ジョニ男 そうです。

 

「気を遣うほうが自分には合ってる」

――先程も、さり気なくストローの紙くずを片付けてらっしゃいましたが、そういう所作もホストクラブや付き人時代に培ったものでしょうか。

ジョニ男 そうですねぇ。どうしてもその辺りの癖は未だに抜けなくて。ゴルフに行っても、後輩のゴルフバッグをつい積んじゃうんですよ。ゴルフ場についてゴルフバッグを車から下ろすと、その後ろに来た車のも下ろさなきゃって走ってっちゃう。

――知らない車なのに(笑)

ジョニ男 向こうの人がビックリですよ。もうね、これは直らないですよね。ひとりでラーメンを食べに行ったら、全然知らない隣の人の水までついじゃうこともあるし、無意識で。

――体が勝手に反応しちゃうんですね。

ジョニ男 根本的に好きなんですよね、そういうことをするのが。「やらないで」って言われる方が辛い。だから酒を注いでもらうのが嫌なんですよ。手酌がいいんですよ。でも人には注ぎたい。酒とお水と氷のセットは自分の傍に置いておきたい。

――会社だったら出世するタイプ。

ジョニ男  いや、万年平のパターンでしょう。

 

――万年係長ぐらい?

ジョニ男 万年係長いいですね。いやぁー、憧れるなぁ。やっぱり上にいけばいくほどね、責任というものが色々出てきて辛いでしょう。誰かにやってもらうよりは、誰かのお世話をしたいなぁと。

――その辺りは、いわゆる「お父さん」とは違うところかもしれないです。

ジョニ男 22の時にやめたんです、亭主関白は。当時今の妻と付き合ってたんですけれども、それまではすごく威張っていました。自分の父親がそういう人間だったので男とはそういうものなのかと。でもこれ無理してるなって、なんか違うと思ったんですよね。

――相手を喜ばせる方が自分には合っていると。

ジョニ男 そうです。気を遣った方が向こうも喜ぶわけじゃないですか。うちの妻にも相当気を遣ってますよ。その方がたぶんうまくいくと思うんですよね。