5月に陸上競技の関東インカレが行われた。
駅伝ファンの視点で一年を眺めると、春季のひとつのポイントであった同大会が終わり、日本選手権などの上位大会を狙うエース級以外の選手たちは秋の駅伝シーズンに向けた鍛錬期へと向かっていくタイミングでもある。
そんな切替わりの季節に差し掛かることもあり、時期尚早であることは百も承知のうえで、この春シーズンから「2020年箱根駅伝」を読み解いてみたい。
大きなインパクトを見せたのが前回3位の東洋大
箱根駅伝で好成績を収めるには、大きく3つの要素が必要になってくるように思う。
まず1つ目は、層の厚さだ。
10区間と通常の駅伝よりも多い区間を継走する箱根では、リザーブも含め戦力になる選手の数はもっとも重要な要因であり、結果に直結しやすい要素ともいえる。
その観点でみると、春季に大きなインパクトを見せたのが前回箱根で総合3位の東洋大だ。関東インカレでは1部のハーフマラソンで出場3選手が全員入賞。しかも日本人トップに入った宮下隼人(2年)を筆頭に、4位の蝦夷森章太(2年)、6位の定方駿(4年)といずれも3大駅伝出走経験のない選手が名を連ねた。新しい戦力の台頭を感じさせる結果で、チーム力の底上げという意味でも非常にインパクトがあった。
山要員は特別なトレーニングを積んでいるケースも
2つ目に挙げられるのが、山要員の存在だ。
「天下の険」と言われる箱根の山を上り、下る特殊区間である5区と6区に計算できるスペシャリストが居るチームは、かなり有利に展開できる。前回大会で総合優勝した東海大は、5区で区間2位の好走を見せた西田壮志(3年)が関東インカレの1部ハーフマラソンで3位。同じく総合2位だった青学大の5区を務めた竹石尚人(4年)は2部ハーフマラソンで8位に入った。
山要員に関しては、箱根本戦直前まで特別なトレーニングを積んでいるケースも多く、平地のトラックレースでは見えてこない部分も多い。特殊な急坂ゆえの疲労もあってか、箱根後は故障者も多く、多くの大学にとってはまだ本番はこれからというところだろうか。