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「大衆ウケ政策」を旗印にしてきた菅氏の悲願

 ちなみに政治学者の中島岳志氏によると政治家・菅義偉は大衆の欲望には敏感で、ふるさと納税だけでなく、

《沖縄へのユニバーサルスタジオ・ジャパン(USJ)・ディズニーランド誘致、さらにNHK基本料金・携帯電話料金値下げなど、ポピュリズム的政策を打ち出すことを得意としています。》

 と新刊で指摘している(『自民党 価値とリスクのマトリクス』スタンド・ブックス)。

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©iStock.com

 たしかに! 言われてみるとアッと思う。そして気づくのだ。大衆ウケ政策を旗印にしてきた菅氏にとって「令和おじさん」と呼ばれて親しまれることは夢、悲願だったのかもしれない。望むところだったのだろう。

 冒頭に引用した「こんなに人気が出るとは思わなかった」という菅氏の嬉しそうな言葉をもう一度かみしめたい。

 最後はこの記事。

「『その発言なら指さない』菅長官、東京新聞記者の質問に」(朝日新聞デジタル5月29日)

 会見進行役の官邸報道室長が特定の記者の質問中に「簡潔にお願いします」と述べることに関して東京新聞記者が質問したという。

 すると、
    
《菅氏は「そうしたことを質問するところではなくて、記者会主催でありますから、記者会に申し入れてください」などと答えていたが、この記者がさらに質問しようとしたところ「その発言だったら指しません」と述べた。》

©文藝春秋

 そういえばこんなことも。

《菅氏は今年2月にも同じ記者に「あなたに答える必要はありません」と答えている。》

「ほんとうは怖い令和おじさん」……と言いたくなるところだが、そういえば東京新聞記者には平成から怖かったっけ。

 令和おじさんの放つギャップには今後さらに注目です。

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