「『令和おじさん』引っ張りだこ=菅長官、参院選へ全国行脚」(時事ドットコム6月3日)

 最近やたら目にする「令和おじさん」。

 新元号発表を担当した菅義偉官房長官が人気だという。「ポスト安倍に浮上」という永田町での評判だけでなく一般の反応もいいらしい。

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「桜を見る会」での菅義偉氏 ©文藝春秋

 ご本人も言っている。

《「こんなに人気が出るとは思わなかった」

 菅氏は最近、側近から「令和おじさん」として親しまれていることについて水を向けられ、軽く笑みを浮かべながらこう話したという。》(産経ニュース5月22日)

いつしか「菅さんそのものが可愛い」というムードに

 元号発表で知名度が上がったのもたしかに重要だが、思い出したいのはそのあとのこと。

 菅氏の写真や映像が多くの人にネタとしても消費された。あのとき写真アプリや動画などで「可愛く加工された」令和おじさん。

 すると、そのうちパンケーキが好きとかの情報も加味されて「菅官房長官可愛い」という声もみられるようになった。

 当初はあくまで「加工された可愛さ」だったのに、いつしか「菅さんそのものが可愛い」というムードが出てきたのである。

 これがある程度計算されたイメージ戦略だったら見事というか恐ろしい。

 たとえば首相が4月に開いた「桜を見る会」では菅氏と記念撮影を求める来場者が行列したという。

「令和おじさん」と記念撮影を ©文藝春秋

 令和おじさん人気が証明された形だが、しかし「桜を見る会」に招かれる人は政権側が呼びたい人でもある。ネットで影響力があるインフルエンサーたちが狙い通りに首相や菅氏の“にこやかな顔”をSNSで発信すればこれ以上ないイメージ戦略になる。

 この「桜を見る会」の参加者だが、

《2012年末に第2次安倍内閣が発足してから増え続けている。その結果、開催費用も膨らみ、18年は、所管する内閣府が当初見込んだ予算の約3倍にあたる5229万円が支出された。》(毎日新聞)

 税金で広報も兼ねていたと言うなら政治家の朗らかな顔にはしたたかさが見えてくる。「ほんとうは怖い令和おじさん」。