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「本が売れない時代」の作家デビュー。どう売ればいいのか?――『#電書ハック』配信記念#2

電子書籍の現在と未来を語る、IT系作家と現役電子書店員座談会

電子書籍を若い人に読んでもらう秘策とは

 

佐藤 もう一つ、柳井さんにご質問したいのですが、電子書籍は今の出版界の根本的な課題である、本を読む人を増やすということに貢献できるとお考えでしょうか?

柳井 いまの30代、40代以上は、もともと紙の本を読んでいた人たちしか電子書籍を読まないと思います。紙の本では目が疲れてしかたないという50代、60代の人たちには、文字を大きくできる電子書籍は圧倒的なメリットです。

 若い世代に関しては、もともとスマホで文字を読む人たちだから電子書籍に抵抗はないと思いますが、彼らは無料のものに慣れているので、それをどうやって有料の方に持ってくるという難しさはあると思います。

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 若い人たちは本は読まないけどYouTubeは見ています。端末自体は使っているけど、それで文字を読むという文化にはなってない。YouTubeのようなものから有料の文字ものへの橋渡しが必要になってくる。もともと彼らが興味を持ってるところから導線を引かないとダメでしょうね。

 

松原 若者たちが興味を持っているところから導線を引くという意味では、最近、ZOZOTOWNと組んでキャンペーンをやりました。ZOZOTOWNで洋服を買った人にオマケとして電子書籍クーポンが付けると、紙の本を購入したお客様に電子書籍クーポンを付けたときより、利用された比率が高かったのには驚きました。

 全然違う客層と思っていた人たちでしたが、本は汎用性の高い商材なのでこのような結果になったのかなと思っています。やはり、電子書籍は仕掛けが大切だなと改めて思いました。