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夏は「冷やし天ぷらそば」が絶品

 さて、お味の方はというと、麺は近隣の製麺所の細めの茹麺で、コシもなかなかある。かき揚げの天ぷらは仕入れものだが、衣がやや多めの平べったい大きめのタイプで、横浜駅近くの「鈴一」や東神奈川駅の「日栄軒」、かつての大船駅の「大船軒」と似たタイプである。じっくりつゆにひたして食べるとなかなかよい。そして、なんといってもこのつゆが秀逸だ。やや赤みのかかった綺麗なつゆで、濃すぎることはなく、出汁がじんわりと感じられる。

「天ぷら」は横浜の「鈴一」に似ている味だ

 女将さん曰く「知り合いのつゆ専門店でつくってもらっている」そうで、ブレのない味を毎日提供できるそうだ。

 また、夏になるといつも注文するのが「冷やし天ぷらそば」(340円)だ。秀逸の味と安さに驚く。ガラスの器に、冷たいつゆに冷たい麺。天ぷらはいったんつゆに通してから提供してくれる。涼し気な一杯である。「冷やし天ぷらそば」は夏季以外でも一年中食べることができる。

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夏には「冷やし天ぷらそば」がおすすめ、340円と安い
「冷やし天ぷらそば」のガラスの器がなんとも涼しげだ

消費税10%で値上げはどうする?

 ところで、2019年10月には消費税10%への移行がほぼ決まっている。女将さんに値上げするのか質問してみたところ、「どうしましょうか、その時になったら考える……」となんとも歯切れの悪い回答が返ってきた。その理由がまた面白い。

 お客さんで来るたびに、「本当に安くて助かっている。ありがとう、ありがとう、ありがとう~」と何度もお礼を言う方がいるそうで、値上げのことを考えるとその人の顔が浮かんでしまって思考停止になってしまうそうだ。

 そういえば最近、朝、商店街を歩いていると、松屋にやたらお客さんが入っている。『朝から牛丼か、すごいな』と思っていたら、そうではなかった。生たまご、ごはん、みそ汁に納豆などの小鉢がついた「朝定食」290円をこぞって食べていたのだ。これも290円だ。丸亀うどんの「ぶっかけうどん」も290円。茅場町の「そば処 亀島」の「天ぷらそば」も290円だ。この290円という値段は激安と感じる上限なのだろうか。消費税10%でその290円がどうなるか気になるところだ。

 余談だが、「みよし庵」のメニューをみると、「ちくわ天そば」が300円と「天ぷらそば」290円より高い。仕入れの関係もあるそうだが、女将さん曰く「天ぷらそばが一番人気なので、薄利にして提供している」そうだ。下町の女将さんここにあり、といった具合なのだろう。まさに昭和の「安い・うまい・はやい」の代表格。

写真=坂崎仁紀

INFORMATION

みよし庵

東京都大田区西蒲田7-2-6
営業時間 月~金 5:30-19:45
     土・祝 5:30-18:45
定休日  日