最近、テレビやラジオでうどんやそばの特集番組やコーナーをよく見聴きする。本も多数出版されている。作家でフードエッセイの大御所、平松洋子さんも2018年11月に「そばですよ」(本の雑誌社)を上梓し、立ちそばの奥深さ、日本人の勤勉さや味のルーツを垣間見ている。
若いライターの人たちも麺の本を出版している。うどん研究家の井上こんさんは「うどん手帖」を2018年12月に、立ち食いそば研究の本橋隆司さんは「立ち食いそば大図鑑」(共著)を2019年1月に上梓した。そして、井上こんさん、本橋隆司さんが、3月10日、阿佐ヶ谷ロフトAでトークイベント「路麺の話2」を開催するというので、不肖の私も参加させていただき、取材することにした。
北海道から沖縄まで取材する「人気のうどん研究家」
井上こんさんは博多うどんの福岡県生まれ。子供の頃にうどんの旨さに目覚め、ライターとして独り立ちしてからもうどん愛は膨らむばかり。それぞれの地域で師匠から伝わったうどんの探求にいそしんでいる。「筑後うどん大使」に任命されるほどの人気うどん研究家である。
自分でうどんを打つようになって、益々うどん愛に目覚めたそうだ。小麦粉は多くは輸入に頼っているわけだが、海外産小麦粉の高騰によって、国内産の小麦粉も注目されるようになっている。そんな国産小麦粉の産地によって、うどんのコシや食感、つやがすべて異なるし、作り手によっても大きく違うことに気づいたという。
「北海道から沖縄まで、うどん店の取材にいきましたけど、どんな地域でも店主がうどんと語り合う姿に感動する」という。そんなうどんの話を私的なエッセイとしてまとめたのが「うどん手帖」である。
人情味溢れる「立ち食いそばの世界」
本橋隆司さんは、もともとあらゆるジャンルのライターとして活躍していたが、数年前に大好きな立ち食いそばの取材をする機会があり、立ち食いそばの奥深さに共感して、その後も取材を続けている。趣味と実益を兼ねた立ち食いそばの仕事というところだろう。なぜ立ち食いそばにハマったかは、正直よくわからないという。
むしろ、「取材するうちに、店の方やお客さんとの触れ合いなどを通して、人情味の溢れる店の姿にひかれていったかもしれない」と本橋さんはいう。
立ち食いといわれているそば店でも、いいお店、旨い店がたくさんあると本橋さんはさり気なく解説していく。そんなそば店の様子を、店主やそばの写真を通してまとめたのが「立ち食いそば大図鑑」である。
そんな2人におすすめのお店を訊いてみた。