前世紀末に『「捨てる!」技術』が130万部超のベストセラーとなった辰巳渚さん。当時賛否両論を巻き起こす社会現象にまでなったが、いま、辰巳さんは「家事塾」という活動を通して、生活のあり方を問い続けている。
「本をきっかけに沢山の人の相談を受けるようになったのですが、急激にネット社会化が進行した時期でもあり、逆に本やネットから文字情報で得た知識で目から鱗が落ちたとしても、その鱗はすぐにまた目にくっつくのだ、と思いまして(笑)。文字情報だけでは生活の助けにならないことを痛感して、一人一人と自分の生活についてじっくりと見つめ直すような、そういう場をつくりたいと思ったんです」
「家事塾」では、「2級家事セラピスト」「1級家事セラピスト」を養成し、全国にいる1級セラピストは片付けやワークライフバランスなどについて「家事セラピー」を実施している。肩書が「生活哲学家」の辰巳さんらしく、2級の目標に「モノ・コトで自分を理解するスキル」、1級の目標に「モノ・コトで他者を理解するスキル」の習得を掲げている。
「日常の生活が自分で営めない人が、人に教えたり出来る訳がない。私の世代は女であっても母親から『家事なんてくだらないことは全部お母さんがやるから勉強しなさい』と言われて育っていて、だから結婚生活や子育てという局面でつまずくのだ、と気付きまして。家事を究めよう、ではなく、自分らしい暮らしを当たり前に営むにはどうしたらいいか、を考える活動です」
「家事塾」
http://kajijuku.com/