「中学生の頃から『ガロ』を好きで読んでたから、つげ忠男さんの漫画は、慣れ親しんだ世界ですよね。手塚治虫派は『COM』、白土三平派は『ガロ』の時代(笑)。つげ義春さんの世界は繊細だけど、弟のつげ忠男さんはより野太くストレートに感じられます。そこが気持ちいいんだけど、最初は本当に映画にできるのか?と思いましたね」

 

 独自の幻想性とリアリズムがカルト的な支持を集める漫画家・つげ忠男。最新作『成り行き』を原作とした映画『なりゆきな魂、』(瀬々敬久監督)が1月28日より公開される。状況劇場時代から脈々と受け継がれた佐野史郎さんのアングラ魂は、本作のつげ忠男役でも発揮された。

「もう20年以上前のことですが、僕の出演していたドラマが大ヒットしたこともあって映画『ゲンセンカン主人』でつげ義春役にお声をかけて頂いたんです。その後『無頼平野』でつげ忠男役をやり、テレビ番組等でも何かとつげさんの世界に関わってきました。暗黒の世界……アングラって形だけ真似ても仕方がない。そういう作品は観ていてもどかしいですよね。みんなが共感できないこと、わかり合えないこと、孤独であること――そういうマイノリティの世界をきちんと感じ取れることが大切だと思うんです」

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『なりゆきな魂、』
1月28日より公開
https://nariyukinatamashii.com/