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「コンビニってお正月みたいだねえ。」
これはギャンブルライターの銀玉親方こと山崎一夫さんの言葉です。あの人は高知でもトップクラスに貧しい地区の出身なんですよ。お父さんが本当の山師という、山を買って木を伐採して売ったりする人で、景気がよくなると奥さんを新しいのに取り替えるもんで、きょうだいが何十人もいたらしい。そんなんだから名前のつけ方も雑で、最初の男の子だから一夫で、お姉さんは道で生まれたから道子っていう。今どきのキラキラネームの親に見習わせたいくらいシンプルないい名前だと思いますけどね。
子供の頃の最高のおやつは焼き芋で、今でも焼き芋見るとつい食べちゃう。そんな山崎さんがコンビニでふと「コンビニってお正月みたいだねぇ」って言ったのが、すごく印象に残ってます。「お米も飲み物もお菓子もこんなにいっぱいあって、お正月みたい」って言われて「ホントだねぇ」って。そこにはかつて一夫くんが欲しかったものが全部あるんですよ。そりゃ盆と正月が一緒に来たようなもんでしょう。
その言葉を聞いたのはコンビ組んで何年も経ったときで、もう結構いい年の大人になってる。それでもたまに貧しかった子供の頃を思い出すんですね。私もそうですけど、貧乏の記憶ってなかなか消えないんですよ。
その山師のお父さんが亡くなってお葬式に行ったら、自分とそっくりなエラの張った大きい顔のきょうだいがいっぱい並んでたって。さぞかし壮観だったろうなぁ(笑)。