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「100万円貸してくれと言われたら、10万円あげなさい」 西原理恵子の“泥名言”がすごい

2019/06/17
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 名言の主は、無頼の編集者や勝負師、高知のヤンキーやおばちゃん、実母にわが子。サイバラが出会った(いろんな意味で)どうかしている人たちが放った名言を集めた『洗えば使える泥名言』から「お金の名言」の3本を全文公開!

「100万円貸してくれと言われたら、10万円あげなさい。」

 私のところにも結構「お金貸して」って人が来るんですよ。それも、断れない人が来ちゃう。幼なじみで一緒にさえないヤンキーやってきた子が、ダンナに殴られて鼻血まみれで裸足で逃げてきて、後ろで子供が2人泣いててとか、そんな電話かかってきたら、ガチャンって切れないじゃん。それで「じゃあ100万」って貸しても、二度と返ってこないですから。点滴1本余分にあげただけで、根本的な解決にもならない。それでもやっぱり貸しちゃいますよね。

 向こうも最初からだます気はないんだろうけど、「いつでも余裕あるときに返してね」って言ってもそれっきり。返したとしてもだいたい半分返すといなくなるね。「半分も返したんだから」っていう小島理論。こっちも請求する気がなくなってきちゃうし。そういう貸し倒れが2000万円ぐらいある。

 お金が返ってこないのもアレだけど、お金を貸したことでその人との縁が切れちゃうのが残念で。100万円で縁切るような友情だったんだとは思わないけど、向こうにしてみたらもう連絡取りづらいしね。

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 ……というような話を高須先生にしてて「先生のところは、もっと来るでしょう」と言ったら、「100万円貸してくれと言われたら、10万円あげなさい」と。貸すんじゃなくて、貸してくれという額の10分の1をあげる。で、「その代わり同じように10万円くれる人をあと9人探しなさい。お金をただで受け取るんだから、それぐらいの労働はしましょうよ」というのが高須先生の「10分の1理論」です。

 これだったら友達の縁も切れないし、貸したんじゃなくあげたんだから惜しくない。こりゃいい考えだなと思ったんですけど、そしたら10万円を10回もらいに来る奴がいそうな気がする。それか、「1000万円貸してくれ」って言ってくるか。まあ、そこまでやるなら逆にすごいと思いますけど。