ブログやウェブ媒体でその確かな批評と舌鋒の鋭さから人気を博す山本一郎さん。文春オンラインでのコラム連載が『ズレずに生き抜く』として1冊にまとまった。
「同じようなコラムを書く人が同じ媒体に3人いたら、1人読んだらお腹いっぱいになってしまう。同じ社会時評でも切り方をいかに変えて読ませるか。毎回いろいろ工夫しながら挑戦しています」
本書は多面的な記事の中から、仕事、会社、人生、社会など中高年が読んで刺激を受けるテーマに絞った1冊になった。ネットの黎明期から「読まれる」文章を個人で発信し続けてきた著者の読者からすると、本書は上品になった印象を受けるかもしれない。
「私のある意味、書き方の手癖である悪口や冗談、悪態のような邪悪な装飾が、すべて編集の意向で削ぎ落され、『これは大変なことになった』と最初は思いました。でも、その分加筆修正し、誰が何処で読んでも恥ずかしくない、しっとりとした本に仕上がったのが良かったです」
本書の発売日が著者の第4子の出産日と重なった。
「人生はとかく思いもよらないことの連続。読者の方にもこの本が新しい自分を生み出すきっかけとなれば」