6月18日、新潟・山形で起きた震度6強の地震によるけが人は山形、新潟、宮城、石川各県で計26人に上り、多くの人が避難する事態となった(6月19日9時45分時点)。
「世界で発生する地震の10分の1が集中する日本では、時代を問わず、場所を問わず、大規模地震に見舞われるリスクを抱えています。残念ながら、令和の御代になってもこのリスクが減じることはありません」。
政府の「地震調査研究推進本部地震調査委員会」で委員長を務める平田直・東大地震研究所教授は、「文藝春秋」6月号の取材に応えてこう語っている。
日本のどこでも、大規模地震が起こるリスクがある――。リスクの一つとして、専門家が指摘するのが、東日本大震災をも越える災害になるとされる「南海トラフ地震」だ。
去る5月31日、政府の中央防災会議は、南海トラフ地震で予想される被害の最新の試算を公表した。
想定死者数は、建物の耐震化が進んだこともあり、かつての被害予測から9万人ほど減ったものの、それでも最悪で23万人もの犠牲者が想定されるという。東日本大震災の死者・不明者の実に12倍以上にあたる。建造物などの直接損害額は約170兆円。2019年度の日本の国家予算を遥かに上回る金額である。
令和の時代でも大規模地震は必ずやってくる
さらに政府の専門家委員会によれば、南海トラフ地震は30年以内にM8~M9クラスの地震が70~80%の発生確率。首都直下型地震もやはりM6.7~M7.3程度の地震が30年以内に70%の確率で起こるとされる。
我が国で1000人以上の死者・行方不明者を出した震災は、1948年の福井地震(マグニチュード7・1、死者3769人)の後、95年の兵庫県南部地震まで発生しませんでした。しかし、その間も兵庫県南部地震クラスのマグニチュード7・3程度の地震はコンスタントに日本及びその周辺で起きている。たまたまそれが人口の密集する都市の周辺で起きなかっただけなのです。明治期までさかのぼれば、ほぼ10年に1度の頻度で、1000人以上が犠牲になる地震が発生しています。令和の御代でもM7以上の大規模地震はほぼ確実に起きます」
では、いつ、どこで起きるのか。平田氏が続ける。