昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2019/07/03

genre : エンタメ, 読書

清張さんとの共通点はメガネとくちびる

――清張さんとの共通点は、ほかにもありますか?

みうら やっぱり度の強いメガネですかね。メガネ屋で「もう、右目はこれ以上視力が出せない」とまで言われてしまったんですが、清張さんのメガネのレンズもよく見ると左右の厚みがまったく違いますよね。左右の視力が違うという点も、僕は清張さんと同じなんです。あと、清張さんに憧れ続けていたら、なぜか唇も若い頃より分厚くなってきたような(笑)。清張さんの唇も、若い頃のお写真を見ると、そんなに厚くないんですよね。清張さんは自画像を描かれる際も、唇を分厚く描かれます。きっと、「そこがいいんじゃない!」と思われていたんじゃないでしょうか。 

右が松本清張氏 

――作品を書く上で、影響を受けていると感じることはありますか?

みうら 「ノンフィクションな自分の心情をフィクションに混ぜて伝える」という手法は清張さんから学んだことだと思います。清張さんは自伝を1冊しか書かれていませんが、小説の中にご自身の心情を織り込んで描かれているから自伝を書く必要がなかったのではないかと思うんです。 清張さんの小説は、セリフもすごくリアルでしょ、「実際に体験されたことを元に書かれているんじゃないかな」と感じるシーンも多々ありますからね。そのまんま本当のことを書くのではなく、ドキュメントを小説というエンタテインメントに変化させた魁でしょう。実は、僕が「週刊文春」で連載させてもらっている「人生エロエロ」も、「自分や知人の実体験をどうフィクションに置きかえるか」ということを毎回考えて、清張さんの文体で書いているつもりなんですけど、誰も気付いてくれません(笑)。かなり自分流にはなっていますけど、僕の根底には確実に清張さんが流れています。30代後半から、小説はほぼ清張さんの作品しか読んでいないですし、本当に多大なる影響を受けているんです。