1ページ目から読む
2/3ページ目

 実は、日本の100歳以上の人口は、どんどん増加しています。厚労省の「高齢者調査」が始まった56年前の1963年には、100歳以上の人口は全国でわずか153人でした。それが1998年にはじめて1万人を突破。わずか14年後の2012年には、その5倍の5万人に。そして昨年9月15日時点で、前年より2014人増加し、6万9785人にもなっています。もしかすると、今はすでに7万人以上になっているかもしれません。

7600円の純銀製から3800円の銀メッキ製に

 ちなみに、100歳を迎えると敬老の日(9月の第3月曜日)に内閣総理大臣からお祝いの銀杯が贈られるのですが、1杯7600円の純銀製だったのが、2016年度から1杯3800円の銀メッキ製に変更されたそうです。せっかくの長寿のお祝いなのになんともセコイ話ですが、それくらい100歳以上の人が増えたということなのです。

©共同通信社

 そもそも第二次大戦後、日本人の平均寿命(0歳の人が生きる平均の期間)は驚異的な伸びを示してきました。戦後まもなくの1947年の平均寿命は、男性が50.06歳、女性が53.96歳でした。もちろん新生児や幼児の死亡率が高く、戦争で若くして死んでしまった人も多かった時代のこと。60代、70代まで生きる人も少なくなかったとは思いますが、それでも昔言われた「人生50年」という言葉は、世の人びとに実感を持って受け入れられていたことでしょう。

ADVERTISEMENT

なぜ日本は世界に冠たる長寿国になれたのか

 それが、高度経済成長(1954~1973年)と軌を一にするように日本人の平均寿命は延びていき、女性は1950年、男性は51年に60歳を突破。それから、女性は10年後の1960年、男性は20年後の71年に70歳を突破。さらに女性は1984年、男性は2013年に80歳の大台を超えました。最新の2017年のデータでは、女性の平均寿命は87.26歳、男性は81.09歳と、世界に冠たる長寿国となっています。

 なぜ、これほど日本人は長生きするようになったのでしょうか。それは第一に、感染症で若くして命を落とす人が減ったからです。戦後まもなくまで、日本人の死因の1位は「結核」でした。また、戦前はインフルエンザ(スペイン風邪等)などによる「肺炎」や、腸チフス、赤痢などを原因とする「胃腸炎」なども死因の上位を占めていました。

 つまり、衛生状態や栄養状態が改善されるとともに、抗生物質などの登場によって感染症で死ぬ人が大幅に減ったので、日本人は短命でなくなったのです。また、国内では戦後70年以上にわたって戦争のない平和な時代が続いていることも、平均寿命の延長に大きく寄与していることを忘れてはならないでしょう(たとえば内戦によって、シリア人の平均寿命は20年も短くなったそうです)。
https://www.sankei.com/affairs/news/160622/afr1606220006-n1.html