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「老後2000万円不足」で“弱者”に忍び寄る不動産屋「投資しませんか」「節税できますよ」

サラリーマンの一念発起は危険です

2019/07/03

 金融庁の金融審議会ワーキンググループが提示した『「高齢社会における資産形成・管理」報告書(案)』が今、社会で大問題になっている。老後生活が現在の年金制度のみでやりくりできるとはほぼすべての国民が思ってはいないだろうが、今回のレポートが参議院議員選挙前であったことや、10月に消費増税を予定するなか、内閣府の外局に位置付けられる金融庁から出たものであったことから、金融庁の本来の思惑とは別に政争の具と化してしまったようだ。

 だが、政府与党がどんなに「レポートを受け取らない」だとか「存在しないのだから審議の対象にはならない」と言い張ったところで、日本の多くの国民が老後生活におおいなる不安を抱くことに対する慰めにも、ましてや解決にもつながらない。政府による適当な逃げ口上を聞いていても始まらない。自らの問題は自らで解決するしかないのだ。

「2000万円持ってる?」

 最近、サラリーマン同士の会話で、互いに「2000万円持ってる?」と聞き合う挨拶が流行っているのだそうだ。現役のサラリーマン諸氏で2000万円の貯蓄を持っている人がほとんどいないこともあって、半分ジョークと皮肉を込めた挨拶なのだ。

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 現役世代のサラリーマンの多くは、貯蓄どころか多額の住宅ローンを背負っている。そして大抵が定年退職時まで返済が継続する。中には定年退職時に退職金で一括返済する、あるいは定年後も返済を続けるケースもある。晩婚化の影響もあって50代後半になっても多額の教育費を抱える世帯も多い。

 そんな状況で老後2000万円の資金を用意することができるのだろうか。