自宅そのものを「稼ぐ」資産にする方法
まず自宅は自分が住むためのものと考えずに、「稼ぐ」資産として見直してみることだ。民泊などはせっかく民泊新法で法制化されたのだ。ルールさえ守れば堂々と運用できる。子供が卒業して出ていった部屋を後生大事にとっておいて感傷に浸るのではなく、日本にやってくる外国人を泊めればよい。海外出張などで頑張ってきたお父さんも英語で会話して交流を深めることができるかもしれない。外国人が嫌な人なら2階を学生などに賃貸してもよいだろう。若い人との交流は若返りのコツだ。
ただ「民泊憎し」のプロパガンダが効きすぎたのか、民泊新法の制定にあたって多くのマンション管理組合では「民泊禁止」を決議してしまった。マンションこそ老後は運用して管理費や修繕維持積立金を払っていく原資にしたいところだが、一斉に「右へ倣え」してしまうことがマンションを「稼ぐ資産」にできなくさせているのも現実だ。
戸建て住宅ならば1階を店舗やアトリエとして貸してもよいだろう。最近はコワーキング施設も大流行りだ。情報端末だけで仕事をする若い人も増えている。そんな人たちの拠点として運用すれば、退屈な老後の生活にも潤いが生まれることだろう。
実家に戻るのも「妙手」
自宅で稼ぐことができない都心のマンション住まいならどうするか。いっそのこと実家に戻るというのが一番の妙手だ。もし実家が地方にあってなかなか運用できなくとも自分たちが住む家としてなら十分だろう。地方のほうが生活費も安く、報告書で試算している月26万円より安く暮らせるかもしれない。いっぽう古くなっても一応都心部にあるマンションなら借り手もいるだろう。自宅マンションを貸して実家に引っ込むということだ。それならば(おそらく)ローン返済が終わっているマンションを貸せば賃料のほとんどが手に入る。それが月5万円以上ならば、おっ、どうやら老後生活をつつがなく送れそうな気がしてきた。
ただし自分の住んでいるマンションも貸す頃には築40年超だろう。立地はもちろん建物の管理状態も良好であるとの条件つきだ。
いずれにしても周囲の甘言に惑わされてあまり無理はしないことだ。小泉元首相がおっしゃったではないか。「人生いろいろ」。金融庁の報告書なんていまにみんな忘れる。いろいろな人生を楽しみたいものだ。