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優秀な選手に囲まれるほど良さを発揮できるタイプ

 選手が成長する上で重要になってくるのが、指導者やチームメイトの質だ。

 レアルのトップチームの監督はジネディーヌ・ジダンでチームにはルカ・モドリッチ(クロアチア代表)を始め世界トップレベルの選手が集まっている。練習時からW杯のような環境に置かれるわけで、トップの試合になれば世界オールスターズのようなチームで試合ができる。久保の凄さは「判断をともなう技術の高さ」だが、優秀な選手に囲まれるほど自分の良さと力を発揮できるタイプ。トップ選手とプレーすることで自分の良さに磨きがかかるだろうし、自分にない質の高いものを習得することができる。もちろんサッカーだけではなく、サッカー以外の世界に触れて、自らの見識を高めることで人間的な成長も可能になるだろう。すでに落ち着き払った言動は18歳には見えないが、このまま年を重ねて成長していけば将来、プロサッカー選手としてどんなレベルの選手になっていくのか、ちょっと想像がつかない。

 また、久保が活躍すれば日本人選手の評価が上がり、国内でさらにチャンスをつかむ選手が出てくるかもしれない。そういう意味では久保のレアル移籍は、久保個人はもちろん日本サッカー界の未来に関わってくる事例に思える。

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©山田一仁/Kaz Photography

移籍のデメリットはあるのだろうか

 では、レアル移籍のデメリットはあるのだろうか。

 例えば、育成年代で世話になったバルサを裏切ったと言われるが、そうだろうか。

 バルサの提示は年俸25万ユーロ(約3000万円)、バルサB登録という契約。レアルの提示は、年俸100万ユーロ(約1億2000万円)、トップチームとカスティージャ(レアル・マドリードB)で登録。ふたつの条件の差は明白だ。自分を高く評価し、契約にそれを反映してくれるところを選択するのがプロ。欧州のサッカー界でプレーする選手は、概ねそう割り切っているし、ファンもそのことを理解している。