自分が被害者のように言い訳するコメントも
「特殊詐欺グループとは本当に知りませんでした。そこだけは信じて頂きたいです」
田村亮の謝罪コメントには、自分も被害者のように言い訳する一文がある。芸人らの謝罪コメントには同じように認識の甘さや認識不足という言葉が並び、反社会的勢力と知らずに出席してしまったと、自分が被害者のように言い訳するコメントも多い。
だが、誰もが指摘するように、この問題をめぐっては特殊詐欺による被害者がいる。そのお金でギャラが支払われていた。「直接の被害者が存在しないが、謝罪しなければならないこともある」と竹中氏は書いているが、被害者に対する謝意を述べている者はいない。吉本興業が出した文書にもそれはない。
芸人たちのこういう認識の甘さが、吉本興業の企業体質と重なってイメージされたというのも理由の1つだろう。
認識の甘さは、反社会的勢力に対してだけでなく、吉本興業のコンプライアンス遵守に対しても同じだ。聴取前には、出席した芸人たちで金銭授受に関する打ち合わせをしていたという。会社には嘘をつき通せると思っていたのだろうか。結果、吉本興業のイメージやブランドは失墜し、さらなる問題が出てくるのではないかという疑念すら湧いてくる。
一発アウトも仕方ない誕生会出席
さらにスリムクラブの2人と2700の2人も平成28年の闇営業で、暴力団幹部の誕生会に出席し、ギャラを受け取っていたことが報道されると、吉本興業はこの4人を無期限で謹慎処分にした。指定暴力団幹部の誕生会に出席し仕事をしたとなれば、暴力団排除条例にもひっかかってくる可能性がある。一発アウトも仕方ない。
6月27日、吉本興業はホームページに決意表明を公表した。
〈プレスリリースを出した後こそが本番〉(『よい謝罪』より)
この事態を穏便に収めるのは、どのような反応があるか見極めることこそが分かれ目だと竹中氏は説いている。反社会的勢力との接触だけでなく、闇営業自体を問題視する報道も多い。吉本興業はこれらにどう対応していくのか。謹慎となった芸人たちも吉本興業も決意表明をどう実践していくのかが課題だろう。
竹中氏はこうも書いている。
〈『世間の怒り』に対する謝罪は実に難しい〉