プロ野球チームと地元高校吹奏楽部のコラボ企画の意義
この試合でメモリアルの日本通算150号本塁打を放ったブランドン・レアード内野手は「アンビリバボーな体験だった。アメリカには応援団という文化がそもそもなくて、その存在自体が素晴らしいのだが、それに輪をかけて高校生の皆さんが醸し出したハーモニーは素晴らしかった。毎試合、来て欲しいよ」と感想を口にした。
選手会長の鈴木大地内野手も「この日を迎えるにあたっての事前の準備、練習は大変だったと思う。本当に素晴らしい応援で後押ししてくれた。選手全員が感動をしていた。選手を代表して感謝の言葉を伝えたい」と深々と頭を下げた。
試合は残念ながら1-4で敗れた。それでも、なにか心温まる感動が胸の奥深くに残った一夜となった。海老澤さんは「プロの真剣勝負を目の当たりにでき、また超満員の球場の中で応援ができたことは、大変貴重な経験となりました。準備の大変さや大切さ、気持ちの前向きさが、今回の活動を通して肌身で感じられたことは、今後生徒が何かに立ち向かう時の糧になると確信しております。この度は我々にこのような場を与えていただきありがとうございました。千葉ロッテマリーンズの今後益々のご発展と選手の皆さまのご活躍を楽しみにしております!」と、生徒たちにとっても、この体験は貴重なものであったことを語り、地元球団にエールを送った。
昨年に引き続き好評となったプロ野球チームと地元高校吹奏楽部のコラボ企画。海老澤さんはその意義を口にする。
「本校吹奏楽部は、コンクールや演奏会にも積極的に取り組みますが、応援をするということに関してはとても意義があるものと捉えています。まず、人を応援できる純粋な気持ちは、普段の生活でも、とても大切なことです。人間はどうしても自分が中心となってしまうのはやむをえませんが、その時だけは『人のため』と思い応援します。そこに『自分』だけではなく『仲間』もいるということに気付くことになります。部活動、とくに吹奏楽部のようなみんなで息を合わせ奏でることを基本とするチームワークに特化した活動をしている我々にとって応援活動は、心の成長を一番促してくれるものと確信しております。また、勝負に真剣に向き合っている選手を目の当たりにすることによって自分の存在を再認識することにもなり、そこから人生の教訓を学ぶこともあります」
人を応援する尊さ。なによりも人に喜んでもらい、後押しできるように陰で繰り返されてきた見えない努力。それが感動を呼び、感動をしている姿にまた高校生たちは成長していくのだろう。残念な事があるとすれば、それはこの試みを行って2度目でまだマリーンズに勝利がないこと。次こそは高校生の皆様と勝利の感動を分かち合いたい。勝てば、さらなる感動が待っている。まだ見ぬ感動がある。
梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)
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