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通算400号! 中村剛也が明かした“ホームランを打つための練習法”とは?

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/07/26

「みなさんが思っているよりも、僕はいろいろやっているんですよ」

「入ってきた時には打撃がすでに出来上がっていた。ロングティーの飛距離はダントツだったし、軽く振って飛ぶ。打球の角度も、他の選手とは明らかに違っていて、まさに“生まれついてのホームラン打者”という感じ。最初から次元が違った。なので、特に何かを変えたり、教えた記憶がない」と、ルーキー時の二軍打撃コーチだった田邊徳雄元監督(現西武ライオンズ球団本部チームアドバイザー、韓国ハンファイーグルス打撃コーチ)は入団当時を振り返る。また、これまでプロに入ってから関わってきた多くのチーム関係者、スタッフ、選手たちもみな、「そんなに、表立ってガツガツ練習しているイメージはない」と口を揃える。こうした声に、あのあまりにも柔らかくしなやかで、力感なく、それでいて圧巻の美しい放物線を描く中村選手の打撃フォームとホームランは、ある意味、天性の才能ゆえなのかと思いがちだが、決してそれだけが要因ではないようだ。「みなさんが思っているよりも、僕はいろいろやっているんですよ」。偉業達成後、本人は珍しく、ちょっぴり得意げに強調した。

 その努力を、敏感に斟酌したのが松井稼頭央二軍監督だ。後輩の400号到達に「すごいよね〜。嬉しいね」と笑顔を見せ、「本人の努力の賜物だと思う。じゃないと、絶対に打てない。練習も何もしなくて打てるような甘い世界じゃない。見えないところでやっていたんだと思う。でなければ、ここまでの成績は出てこないと思います。練習でやっていないことは、試合では出せないですからね」と、NPB通算2000本安打、同200本塁打という大記録を達成した立場から力説した。同じ、プロ野球選手として生きていたからこそ、その記録の偉大さがリアルにわかる。「ヒットを2000本打つとなったら、100本を20年間続けなければならない。300本塁打を打つのだって、30本を10年続けなければいけないということです。短期間良かっただけでは、決して記録は達成できません。まして400本なんて、とてつもない数字です。ほんますごい。ただ、本人は『400本打ったからどうなんだ』って思っているんでしょうね。これからまだまだ打っていくわけですから」。心からの祝福とリスペクトを送る。

「まだまだ、もっと、ホームランを打てると思う」と、中村選手も自分自身のさらなる進化に期待を寄せる。昨季は、8月に打率.319、本塁打12本、打点26と大活躍し、優勝へ向けてチームを追い風に乗せた。間もなく得意の8月を迎える。「より一層努力して頑張っていきたい」。中村剛也のホームラン神話は、まだまだこれからも続いていくだろう。

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