文在寅大統領は北朝鮮の“忠犬”に成り下がったーー。

 6月30日、南北軍事境界線がある板門店(パンムンジョム)で行われた、ドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との緊急会談の裏で浮き彫りになったのは、韓国大統領の奔走ぶりだった。

文在寅韓国大統領 ©Getty Images

 なぜそう指摘できるのか。それには米朝会談実現までの全内幕を明らかにする必要があるだろう。

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「常識的に考えて、そんな場所に行けるわけがないんだよ」

「まったく、文在寅は信じられないよ」

 こう口を開いたのは、6月中旬にワシントン現地で取材した、ある米国政府関係者だった。当時、月末に控えた大阪でのG20(20カ国・地域首脳会議)、そしてトランプ大統領の訪韓に向けてホワイトハウスは慌ただしく動いていた。話はこう続いた。

「文在寅は、訪韓したときにはトランプ大統領にDMZと板門店をぜひ訪れて欲しいと懇願してきたんだ。ホワイトハウスの返事は『NO』だった」

 DMZとは38度線(休戦ライン)の南北に幅約4キロメートルに設定された非武装中立地帯のことを指す。板門店は同じく軍事境界線上のエリアで、2018年に北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が韓国側施設を訪れ、史上初めて韓国内で南北会談が実現した場所として知られている。

「ホワイトハウスがNOと返答したのは安全上の問題から。米大統領の身辺は常に武装したシークレットサービスが警護している。しかしDMZ内ではシークレットサービスでさえも武装が許されない。常識的に考えて、そんな場所に米国大統領が行けるわけがないんだよ」(同前)

“懇願慣れ”している文在寅

 文大統領がトランプに懇願をするのは、じつはこれが初めてではない。今年5月、最大野党「自由韓国党」の姜孝祥(カン・ヒョサン)議員が記者会見し、7日の電話会談で文大統領がトランプに5月の日本訪問後に「少しの間でも韓国を訪問してほしい」と懇願していたと暴露したことがあった。情報漏洩したとされる外交官が更迭され、刑事告発されるなど大騒動となったのは記憶に新しい。

 米国への懇願慣れしていた文大統領側は、NOと言われてもなかなか折れなかったという。