安倍晋三首相は2021年9月に自民党総裁任期満了を迎えるが、自民党内からは早くも「4選」を求める声も出ている。
そこで文春オンラインでは「次期首相になってほしいのは誰ですか?」というアンケートを実施。安倍首相(4選)、小泉進次郎厚労部会長、菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長らを抑え、堂々の1位になったのが、石破茂元幹事長だった。
昨年秋の総裁選で安倍首相に敗れている石破氏は、この結果をどう受け止めるのか。そして「ポスト安倍レース」への覚悟はあるのか。その戦略はどうなのか。週刊文春編集局長の新谷学が石破氏に切り込んだ。(全2回の1回目/#2へ続く)
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「安倍総理の後は誰かがやらなきゃいけない」
――「ポスト安倍に誰がふさわしいか」というアンケートをやりまして、応募総数が802。そのなかで1位が石破さん、191票。2位が小泉進次郎さん、177票……。
石破 肉薄。
――3位が安倍さん(4選)、126票。4位が菅さん、89票。5位が岸田さんと河野太郎さん、50票で並ぶ。まず率直なご感想をお聞きできますか。
石破 それだけ期待してくださっている方が多いというのはありがたいことです。「いや、私のような浅学非才が」、ということは許されないのだろうと思っています。私は「(総理総裁に)なりたい、なりたい」と言ったことは実は一度もない。ただ、総理総裁でなければできないと思う仕事がある時に逃げちゃいけないっていうことなんですね。
小泉総理、福田総理、麻生総理、安倍総理、4人の総理に閣僚としてお仕えしました。あるいは竹下総理、小渕総理、羽田総理……間近で見た総理もいました。それはもう本当に激務、命を削る仕事です。ご存知の通り、プライバシーなどはどこにもなく、ご批判を浴びることばかり。お金が儲かるわけでもない。私、大臣は何度もやりましたけど、「総理、どうしましょうか」「総理、ご判断を」と言いますもんね。総理は誰にも言えない。
だけど、未来永劫続く政権はないし、安倍総理の後は誰かがやらなきゃいけない。これだけ長く続いた政権の次に、「財政どうする?」「金融政策どうする?」「社会保障どうする?」「安全保障どうする?」「憲法をどうする?」、それらを一つ一つ国民に説明しながら、みんながパチパチ手をたたくような解決なんかできるはずがない。だけど、誰かがやらなきゃいかんことだろうと思っている。
このアンケートのようなご支持があって、もう33年も国会議員の議席を与えていただき、閣僚も6年やって、幹事長も政調会長もやって……「いいえ、私はやりません」「そんなつもりありません」とか、そんなことは言ったらいかんだろう、ということです。