安倍晋三首相が2021年9月に自民党総裁任期満了を迎えるにあたり、文春オンラインで実施した「次期首相になってほしいのは誰ですか?」アンケート。
1位になった石破氏は「ポスト安倍レース」から逃げない覚悟を示した。では石破氏は菅義偉官房長官や岸田文雄政調会長などライバルと見られる人たちをどう見ているのか。
そして「ツッコミが細かすぎる」「人間に興味がないのでは」という一部の批判について、どう応えるのか。週刊文春編集局長の新谷学が石破氏に切り込む。(全2回の2回目/#1より続く)
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「政治家・菅義偉」をどう見ている?
――令和への改元以降、にわかにポスト安倍として注目が高まる菅義偉官房長官ですけれど、政治家・菅さんに対する評価はどうですか?
石破 そんなに深く付き合ったことはありませんが、自民党の野党時代、安倍先生が総理になる前の4カ月間は、私が幹事長で菅さんが幹事長代行でした。一緒に戦って、政権奪還して良かったね、という思いを共有して、同志だと思いました。菅さんは安倍政権をつくるために一番働いた方だし、内閣のためにいろいろな批判を浴びながらずっと支えておられる。それは立派なことだと思っています。
ただ、菅さんが国家観や憲法、安全保障について話されたのを聞いたことがないので、判断のしようがないですね。一緒にやった仕事でいえば、地方創生やふるさと納税、そういう個別の政策判断も的確だし、神奈川県内での選挙のやり方などを見ていても、さすがだと思います。この国をどうするんだという全体像についてはまだ判断できないですね。
――確かに、菅さんの憲法の話は聞いたことないです。
石破 もちろん、ずっと官房長官でおられるから、語ることもできませんよね。もし現在の権力構造を継承するとすれば、もっともふさわしい方の一人でしょう。
――たとえば他にポスト安倍として名前が挙がる岸田さんは国家観について語られていますか。
石破 岸田さんとは同じ昭和32年生まれなんです。私と、石原伸晃さんと、岸田さんと、中谷元さん、同じ年生まれという縁があって、定期的に4人で会ったりもしています。ですから人柄がすごくいいということはよく知っています。判断もクリアですね。だけど、やはり「この国をどうする」という全体像については、今まで外務大臣とか政調会長とかいう立場だったこともあるでしょうが、もう少し語っていただけると、今後さらに存在感が増すでしょうね。