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石破茂に聞く「なぜ若手議員と料亭に飲みに行かないんですか?」

「ポスト安倍」アンケート1位 石破茂インタビュー#2

note

演説でのポイントは「地元のおいしいラーメン屋」

――4月の統一地方選もずいぶん回られていましたね。

石破 26都府県を回りました。町長選挙にも行きました。もちろん会合を開いて親しく交流する、それもいいんでしょう。でも私は国会議員にとって何よりも大事な選挙、それを重視したい。だから応援に行くときは、すごく分厚い資料を用意します。市町村単位です。そこの人口動態――あと何年で人口が何人になるか、20代、30代の若い女性が何%減るか、あるいは名産は何か、おいしいラーメン屋さんはどこか……。

――そこでオタク的な気質が。

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石破 そういうことを言うと演説で沸くわけ。

 

――なるほど。だからよく調べる。

石破 うちの●●ラーメンをよく知っていてくれた、◎◎寿司屋を名指しで挙げてくれた、とか。そこまでうちの地域を知って、応援に来てくれたんだと思ってもらえるようにする。それは膨大な準備が要ります。

 選挙中の応援では、私は会場でも街頭でも演説するけれど、あわせてできるだけ選挙カーに乗ります。自分でマイクを持って「私が石破であります。私が●●候補の応援にまいりました」と言って車を走らせれば、あらかじめ会場に集まる人の何十倍の人に知らせることができる。「あっ、石破が来たんだね」と思ってもらえる。

 ほんとに親友というのか、仲間というのか、「日本国はこうあるべきだ」と語りあえるような人は、たしかにそんなに大勢はいないと思います。うちの水月会のグループ(石破派)とか、他派閥でも応援してくれた人とか、それが73人という数字なのかもしれません。だけどひとつ、国会議員であれば誰でも共通しているのは、選挙に通らなければ、ということ。私は、そこでお手伝いをすることを重視したいと思っています。

 

料亭で夜な夜なという人付き合いは嫌い?

――毎晩料亭で夜な夜なみたいな、永田町的な人付き合いというのはそんなにお好きじゃないんですか。

石破 いや、嫌いじゃないけど、1年365日、1日24時間しかない。それをやっているとちゃんと資料を読めなくなる。選挙応援が通り一遍になっちゃうんですよね。山形市であろうが、霧島市であろうが、四條畷市だろうが、同じ話をしちゃう。そうすると票は増えないわけ。どうやってその候補の票を増やそうかということを考えた時に、地域のことを十分に知っている、だからこそ「ここにこの人が必要なんです!」と自信を持って言える、そういう展開をしないと、その人を当選させる力にならないんです。

――伺っていると、総裁選での党員票と議員票のギャップの謎が解けたような気がしました。

石破 それが謎の答えです(笑)。