2017年6月2日、覚醒剤取締法違反の現行犯で逮捕された俳優・橋爪遼(38)。懲役1年6カ月、執行猶予3年の判決を言い渡され、2020年に猶予期間を満了。現在はフリーの俳優として活動しながら、依存症に関する啓発活動を行っている。
俳優・橋爪功(83)を父に持つ彼に、逮捕時の状況、奈良にある依存症回復支援施設での生活、薬物を断ち切ることになった“2世の重み”などについて、話を聞いた。(全3回の3回目/1回目から読む)
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マークされていたのは自分ではなかった
――2017年6月2日、覚醒剤取締法違反の現行犯で逮捕されました。「自分は無名だからマークされていないと思っていた」と話していましたが、そこは実際のところどうだったのですか。
橋爪遼(以下、橋爪) 一緒に薬物をやってた友達が、マークされてたんです。築地署が彼をマークしていて逮捕したので、埼玉から築地に連行されて。
――埼玉から築地、パトカーでの移動時間はけっこうありますよね。
橋爪 長かったです。まさに地獄というか。黙って、乗ってました。
――刑事から、なにか言われましたか。
橋爪 「お前、誰だ?」とか「あれ、知らない奴もいたぞ」みたいな反応でしたね。だから、ほんとに僕はノーマークで。警察が友達を逮捕しに行ったら、僕も一緒にやってたので捕まえたという。
「橋爪って、あの」身元がバレて、ものすごい数のマスコミが…
――取り調べで、素性が明らかに。
橋爪 築地署で尿検査をして、事情聴取になって、保険証を出したりして。当然、それでいろいろ確認して警察もわかったと思います。「橋爪って、あの」みたいなことは言われなかったですね。
ただ、築地署の留置所に入って、「身元がバレたな」と感じたことがあって。1日目、留置所の居室には僕ともう1人いたんですけど、その人が移動させられて、僕1人にされたんですよ。それで「あ、バレたんだな」って。他の人と会話させないようにするんですよね。
――弁護士は、国選や当番ではなく、私選ですか。
橋爪 親が付けてくれた私選の弁護士さんが面会に来て、「すごいことになってるよ」と教えられて。最初に東京地検に行くときに、ものすごい数のマスコミが来ているのを目にして「ああ、とんでもないことをしてしまったんだな」と。フラッシュもすごくて「こんなに焚かれるんだ」って思ったのを覚えてますね。とにかく、ビビリ散らかしていました。
そこから地検へ移送する護送車に乗ったら、ほかの被疑者の人たちが一斉に僕を見るんですよ。「お前、なんだ?」って感じで、地検に着くまでずーっと見られて。