2017年6月2日、覚醒剤取締法違反の現行犯で逮捕された俳優・橋爪遼(38)。懲役1年6カ月、執行猶予3年の判決を言い渡され、2020年に猶予期間を満了。現在はフリーの俳優として活動しながら、依存症に関する啓発活動を行っている。
俳優・橋爪功(83)を父に持つ彼に、順調だった俳優業に立ち込め始めた暗雲、合法ドラッグと覚醒剤に手を出したきっかけ、「人生が終わった」と感じた警察の捜査などについて、話を聞いた。(全3回の2回目/3回目に続く)
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同期がどんどん主役級になっていった焦り
――高3でデビューしてから、20代前半までは順調だったと。
橋爪遼(以下、橋爪) 最初の頃は与えられたことをやるだけって感じでしたけど。それでも仕事をいただけて、2010年あたりまでは順調だったと思います。
でも、そこらへんから仕事が減ってきたんです。減ってきたというより、オファーされる役が変わってきた感じですね。たとえば、ドラマではレギュラーの役をいただけていたけど、単発のサスペンスのゲストでお話が来るようになってきたりとか。
もちろん、ありがたいお話だし、すべて物語の上で重要な役柄ではあったんです。でも、当時の僕はそうした方向に進んでいくのが、ちょっと辛く感じたんですね。
自分と同じ時期に頑張ってきた子たちが、どんどん主役級になっていったのもありましたし。
「地道にやっていくしかない」というのはわかっていたが…
――主役級になっていった同期は、グッドルッキングガイ的な感じですか。
橋爪 うーん、そもそもオーラが違うというか。自分は、そういうふうにはなれないと思ってはいましたけどね。だからこそ、「地道にやっていくしかないな」と。それをわかってはいるんだけど、ほんとはそっちに行きたいんだっていうジレンマがありましたよね。
自分のキャラや雰囲気、演技のやり方なんかもわかっているんだけど、なんかそっちには行きたいっていう。
――地道にやっていける俳優のほうが強い気がしますけど、若い頃はそう思えない。
橋爪 って、言ってくれてたんですよ、周りの大人が。でも、その頃の僕としては「そんな場合じゃないし」という状態で。「そうは言われても、自分の周りの人たち、どんどんいい作品出てるじゃん。うらやましい」みたいな気持ちは、やっぱりありました。でも、俳優を辞めるわけにもいかないし。これしかないって考えていたんで。