「お金を渡せばいい思いができる」薬物使用を続けてしまった理由

――オファーされる役が変わってきたことに不満が溜まって、そこから逃れたくて薬物に手を出した、というわけでもない?

橋爪 いま、紐解いていったら、それも原因の1つだなとは思うんですよ。ただ当時、そう思ってたかというと、そうは思ってなかったんですよね。単純に楽しいからやってただけという。ある意味、そういうふうに思ってしまうのが薬なんだろうなと。

 ただ、仕事がものすごく順調で忙しかったら、薬はやってなかった気がします。間が空くようになって、そういうことができる暇とか隙ができてしまったんですよね。

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――その暇や隙間を埋められるのが薬物だった。

橋爪 なんか、自分をなぐさめたいというか、そういうことすらも全部忘れて没頭できるのが薬だったという。それを可能にするいいものが見つかっちゃったから、やっちゃってるというのはありましたね。お金を渡せばいい思いができるんだから、それでいいじゃんって。

1回で使う量が多くなり…歯止めが効かなくなっていった

――常習性はなかったとのことですが、量は増えなかったのですか。

橋爪 常習性はないんですけど、1回で使う量は多くなっていきましたね。月に1回くらいやっていても、やっぱり「もっと、もっと」となって、歯止めが効かなくなってくるんですよね。

 そうやって、ちょっとずつ量を増やしていったので、そういった意味ではアディクトの傾向はあったとは思いますけど。月1という頻度によって、ものすごい勢いで溺れることがなかったところもあったので。

 そうじゃなかったら、間違いなく言動がおかしくなってたと思いますし。ほんと、顔とか外見的にもいろいろ変わっていきますから、早々と入院か、もしくは言葉が良くないかもしれないですけど廃人状態になってたと思います。

 

――薬物をやっていた5年間、罪悪感や恐怖感は抱かず?

橋爪 恐怖感はありました。誰かが薬物で逮捕といったニュースがあると、不安にはなりましたね。それこそ、高知(東生)さんとか。

――「警察や麻薬取締員にマークされているんじゃないか」という不安。

橋爪 でも、僕ごときがマークされているわけはないだろうと。

 高知さん、清原(和博)さん、『おかあさんといっしょで』で“うたのおにいさん”をされていた杉田(あきひろ)さんと、すごい肩書きの方々の薬物使用が報じられたじゃないですか。自分なんて無名なんだから、ノーマークに違いないと考えてましたね。