コロナ禍で日本中が暗いムードに包まれた2020年に、一人気を吐いていたのがユーチューバー芸人のフワちゃんだ。収録中でも自撮り棒片手に写真を撮りまくり、目上のタレントにも馴れ馴れしい口調で話しかける。その勢いはとどまるところを知らず、多数のCMに出演し、新語・流行語大賞にもノミネートを果たした。

 そんな向かうところ敵なしの彼女に唯一、土をつけた人物がいる。ファッションモデルでタレントのローラだ。11月21日放送の『まつもtoなかい~マッチングな夜~』(フジテレビ)で2人は初対面を果たした。

「2020ユーキャン新語・流行語大賞」でも「フワちゃん」はトップ10入り ©️AFLO

 この番組では、MCの松本人志と中居正広が見守る中で、意外な組み合わせの2人が次々に登場してトークを展開した。甲本ヒロトと菅田将暉の対談はネット上でも評判が良かったが、ローラとフワちゃんの対談はネガティブな意味で大いに話題になった。それは近年なかなか見られないほどの「大事故」だった。

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“タメ口キャラ対談”は悲惨な結果に……

 基本的に、テレビ番組の映像のすべては制作者の意図によって作り込まれている。番組として成立している状態でなければ、それが電波に乗って放送されることはない。

 バラエティ番組の収録現場を生で見学したことがある人なら、そのことを実感できるはずだ。実際の収録現場は、テレビで見る印象ほど終始盛り上がっているわけではない。盛り上がっている場面もあれば、そうではない場面もある。収録の合間には、セットチェンジや衣装チェンジのための小休憩もあったりする。

 バラエティ番組がずっと盛り上がっていて面白いように見えるのは、盛り上がった場面だけを編集で切り取っているからだ。さらに、そこにテロップや音楽や効果音が加えられることで、地味な映像素材がバラエティ番組という完成品になる。

ローラ ©時事通信社

 でも、ごくまれに、成立しているとは言いがたい「事故」が映し出されることがある。本来ならカットされるような気まずい場面やグダグダの場面が、そのまま放送されてしまう。ローラとフワちゃんの対談はまさにそのようなレアなケースだった。

棒読みで「わー、嬉しいな」

 彼女たちはいずれもバラエティで一世を風靡した女性タレントであり、タメ口キャラという共通点もある。そんな2人を対面させるとどんな化学反応が起こるのか、というのが制作者の狙いだったはずだ。

 だが、いざ蓋を開けてみると、トークは上滑りして、ボケは的を外しっぱなし。どうにも噛み合わないやり取りが延々と続くことになった。