「もうすでに自分は終わっちゃった」留置所にいるときの率直な心情

――留置所には何日ぐらい。

橋爪 35日ですかね。個室になったので、入浴のときも1人で。新聞を渡されるんですけど、「これ、僕のことを書いた記事だな」という部分は黒く塗りつぶされていました。

――正直、「初犯だから実刑は免れるな」と考えていたところは。

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橋爪 ものすごい数のマスコミを目にして、新聞記事にもなっていることがわかると、「もうすでに自分は終わっちゃった」とは思いました。

 

――家族からの伝言は、弁護士が。

橋爪 そうです、でも、母は何回か面会に来てくれましたね。逮捕されて1週間もしない頃に来てくれた気がします。

――お母さんは、どんな感じでした。

橋爪 怒るんじゃなくて、諭すって感じ。「弁護士さんの言うことをしっかり聞きなさい」という。そこで施設の話も出てきて、「あなたは、もう家には戻れないから。弁護士さんが施設の説明をするから、ちゃんと聞いておきなさい」と。

「2度と窓越しの親は見たくない」母親と面会したときに感じた“後悔”

――お母さんの顔を見たときは、辛かったですか。

橋爪 母親は、やっぱりきますね。ドラマや映画でよく見る、あの面会室の窓。あれ越しの親を見るというのは、絶対に経験してはいけないものだなって強く思いましたね。2度と窓越しの親は見たくないです。

 あと、母は家族がこう言ってるとか、家の様子を教えなかったですね。家族は、僕に対して抱えているものが相当あったと思うんですけど、それを言ってしまうと恨みつらみをぶつけるだけになっちゃうんで。そこに気を遣って、黙ってくれてたのかなと。

――施設は、奈良にあるワンネス財団の依存症回復支援施設ですよね。そこ一択で?

橋爪 留置所にいる時点で弁護士さんから施設の説明を受けて、いくつか候補を挙げてもらって。そのなかにあったワンネスの施設を選んだんです。

 

――そこを選んだ理由は。

橋爪 もちろん、「依存症をなんとかしないと」って気持ちもあったんですけど、どちらかというと「とにかく、遠くへ逃げ出したい」というほうが大きかったですね。実家暮らしだったので、家に戻ったらマスコミも来るだろうし。なるべく遠くて、静かに依存症と向き合える場所がいいなと考えて。

 あと、弁護士さんからプログラムもしっかりしてるうえに、コンビニにも行くことが出来たりしてわりと自由だとも聞かされて「ここがいいかな」と。

――2017年の7月5日に保釈されて、同年の11月13日に懲役1年6カ月、執行猶予3年の判決が下されています。保釈のタイミングで、奈良のほうへ。

橋爪 保釈されて、そのまま奈良の施設に行きました。裁判も奈良から東京に出て、出廷しましたね。