King of 中本「ヒヤミ」はこうして生まれた
以前、中本の店主・白根さんから聞いた大好きなヒヤミエピソードがあります。
先代がやられていた中国料理 中本の20年来のお客さんだった白根さん。
ある日、お店が閉まることになったそうです。当時、中本は上板橋に1店舗しかなく、食べたくても食べられなくなってしまいました。
仕方なく白根さんは辛さで有名なラーメン屋をまわってみるも、どこも辛いだけで中本のような辛さの中に旨みのあるラーメンには出会えなかったそうです。「ヒヤミ食べたい、ヒヤミ食べたい、ヒヤミ食べたい…」白根さんは何をしてる時も頭の中はヒヤミがぐるぐる。
そんなある日、驚くべき行動に出ます。
先代は閉めた店舗をリフォームして同じ場所に住んでいたそうです。白根さんは「きっと電話番号は変わってないだろう」と推測し電話を掛けました。
白根「もしもし!!」
先代「もしもし」
白根「あっ、お久しぶりです白根です!」
先代「お~」
白根「あのー、突然なんですけど僕にヒヤミ作ってくれませんかね?」
先代「無理だね~」
白根「もちろん材料費などかかるお金は全て出しますので!!」
先代「あっ、無理だね~」
我慢できずに電話で直談判。人をここまで動かすつけ麺、それがヒヤミなのです。
個人的なヒヤミは断られてしまいましたが、後に白根さんは中本に対する情熱を先代にぶつけ、二代目店主として中本を継ぐことになります。
先代の頃、ヒヤミは春分から秋分にしか発売さない限定メニューだったそうです。白根さんは継いだ時にこう思いました。
「ヒヤミ一年中食べたい!」
そのことを先代に話して、許可をもらったそうです。白根さんのヒヤミ愛があるから、僕たち私たちは365日、食べたいときにヒヤミを食べることができるのです。白根さん、本当にありがとうございます。