とつぜん駅に現れた「SixTONES特大ポスター」
そんなとき、不遇をかこつ彼らに転機が訪れる。2018年9月、滝沢秀明が芸能活動からの引退を表明し、ジャニー喜多川氏の“後継者”として、後進の指導に専念することを公表したのだ。
《ジャニーズをデジタルに放つ新世代。》
同年10月、こんなキャッチコピーが大きく躍る、SixTONESの特大ポスターが都内の主要駅数カ所に掲示された。世界各地で展開された「YouTube アーティストプロモ」の日本版キャンペーンで、海外ではBTS(防弾少年団)など、数億回の再生回数を誇るアーティストがキャンペーンモデルに登場している。そこにSixTONESが抜擢されたのだ。
「ジャニーズは今までApple Musicなどストリーミング配信に楽曲を提供せず、タレントの写真をウェブサイトに掲載することも禁止してきました。しかし時代の流れに合わせ、2018年3月にYouTube公式チャンネル『ジャニーズJr.チャンネル』を開設し、デジタルの世界に打って出たのです。その意外性からキャンペーンの話が舞い込んだようです。結果的にSixTONESはジャニーズのデジタル戦略の旗頭になったというわけです」(同前)
「ジャニーズJr.チャンネル」ではジャニーズJr.らが“人気ユーチューバー”さながらの活躍をみせている。
「寝起きドッキリや、10万円アポなし旅などの企画に体当たりで挑戦しています。セブン-イレブン・ジャパンなどナショナルクライアントとのタイアップ動画も制作している。再生回数は平均20万から40万程度でまだまだ赤字ですが、事務所は投資の場として予算を投入しています。2019年3月には公式動画サイト『ISLAND TV』も開設しました」(同前)
ジャニー喜多川氏の大号令で”デジタル解禁”
ジャニーズ事務所らしからぬ“デジタル解禁”は業界でも大きな話題になった。しかし前出の事務所関係者は「極めてジャニーさんらしいやり方だ」と語る。
「そもそもジャニーさんはたくさんの少年たちに投資して経験を積ませ、大スターが生まれてくるのを待つというスタイル。その投資の場がリアルからデジタルに移っただけなんです。ジャニーさんは時代を読む力に長けた方ですから、今後はテレビや舞台ではなく、ネットから大スターが生まれると考えていたのでしょう」(同前)
7月9日、ジャニー喜多川社長は他界した。デジタル戦略に舵を切り、ジャニーズJr.の育成体制を整えていく道半ばでのことだった。別の事務所関係者が語る。
「12日に家族葬が行われましたが、遺影を抱えて霊柩車の助手席に座ったのは、姪のジュリーさんではなく、子会社であるジャニーズアイランドの滝沢社長でした。ジャニーさんの後継者は滝沢だと内外に示したわけです。今後はデジタル戦略含め、ジュニア育成の責任を背負っていくことになる」
ジャニー氏の遺志を継ぐ滝沢氏が、社長就任時から直々に担当しているグループのひとつがSixTONESなのだ。