――すごい。BLの妄想対象に使われるかどうかで、中国で女子ウケする人気コンテンツが見えてきますね。
はちこ そうかもしれません。あと、「生モノ」(実在人物を妄想の対象にするBL)では日本のジャニーズのほか、韓流の東方神起やスーパージュニアなんかも、中国での腐女子人気が高いです。特に東方神起のジェジュン×ユンホのCP(カップリング)は流行りました。
ほかに中国の男性アイドルグループのTFBOYSも人気です。彼らはもともと重慶で草の根で活動してきたグループで、後から北京育ちのダンスが上手な子が加入したんですが、私が個人的に萌えるのは重慶の初期メン2人のCPなんです。「大きな舞台に立つようになっても昔の思いを忘れない」みたいな情緒を覚えさせるところがありまして……。
中国の腐女子は三国志では妄想できない?
――そういえば、日本では三国志がよくBLの題材にされますよね。むかし『神聖モテモテ王国』というギャグ漫画で、主人公が「孔明といえど千数百年後の外国でこんな扱いをうけるとはよもや思うまい」とツッコんでいましたが、中国で三国志のBLってどうですか?
はちこ いやあ……、どうですかねえ。個人的には微妙です。中国人は小さいときから時代劇の三国志を見すぎていて、ドラマにはおっさんばかり出てくる。あれで妄想するのはちょっとハードルが高いですよ。
――日本人が『男はつらいよ』とか『暴れん坊将軍』でBLを作れないような感じでしょうか? まあ、実はハイレベルな腐女子が作っていそうな気もしますが、おそらくネタ枠の範囲は出ないでしょうし。
はちこ そうですね。見慣れたおっさんのイメージが邪魔をしすぎてしまいます。
――特にイメージ頼りの部分が大きい小説ではしんどそうですね。じゃあ、同じ歴史でも新撰組はどうですか? 日本の腐女子文化の歴史ジャンルでは三国志とならぶ人気だと思います。
はちこ 三国志と違って新撰組はフツーにいけますね。かなり余裕で。
――新撰組といえども百数十年後の中国人からそんな扱いをうけるとはよもや思うまい。
はちこ やっぱり、自分たちの文化とすこし距離が遠いほうが題材に取りやすいんじゃないでしょうか?