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パワハラ、隠蔽、ブラック……でも吉本は「国から100億円」 プチ鹿島「静観できる事態ではない」

「吉本」記事で、新聞読み比べ

2019/07/25
note

政権と近い会社の体質 「公的な存在」としてどうなのか?

 ではこのプロジェクト、どこを拠点にするのか? 説明にはこう書いてある。

《また、沖縄県に、本プラットフォームの拠点となるアトラクション施設を設置します。バーチャルなコンテンツの世界観をリアルに体感できるアトラクション施設を設置することで、沖縄の地域産業の活性化や、国内外からの観光誘致にも寄与していきます。》

 あ! 沖縄ではないか。

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 吉本の会長さんが「基地跡地の未来に関する懇談会」に呼ばれる意味がここでつながる。

大崎洋会長 ©文藝春秋

 

 今回の騒動で吉本芸人による待遇改善とか、立ち上がる姿もたしかに大事だ。目が離せないし私も応援の気持ちしかない。

©文藝春秋

 しかし政権と近い会社の体質が問題に見え、そこに国からお金が大量に投入される。これは公的な存在としてどうなのか。しかも沖縄というキーワードがとても気になる。

 この点こそ最も話題にならなければいけないはずだ。

 そもそも「エンターテインメントやスポーツで沖縄を世界一の島にする」のも「最大100億円をクールジャパン機構が出資します」も税金だ。

 なら、吉本の体質改善を求めるのは所属芸人だけでなく一般国民だって同じ。声をあげたり小言を言うべきは吉本の芸人だけでなく税金を払っている我々も同様なのだ。「吉本の芸人さんかわいそう」と言ってる場合ではない。

©文藝春秋

 政権側も吉本興業との近さをあらためるべきではないか。隠蔽、圧力、「あったものがなかった」という態度の……

 あ、あれ?

 政権幹部と吉本幹部。「類は友を呼ぶ」という言葉が一瞬浮かんだが、もちろんこれは吉本の社長さんが言う「冗談」であってほしい。

 今考えられる方法は2つ。吉本やその上層部の体質が変わること。

 もしくは吉本は今のままでよい。その代わりに政権との関係や野心を見直してもらう。「芸能ネタ」の範疇に戻ってもらう。そこからの体質改善。

 このどちらかだろう。

 こんなことを言ってるとまた官邸に吉本新喜劇が派遣されて“ほのぼのニュース”が発信されるかもしれない。

 でもここまで明らかになった以上、もう「場を和ませる」意味にはもうならない。

 静観できる事態ではないのだ。

 以上、今週の新聞読み比べでした。

パワハラ、隠蔽、ブラック……でも吉本は「国から100億円」 プチ鹿島「静観できる事態ではない」

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