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「深夜12時は”小和田タイム”」官僚として確かな実績を残された雅子さま

 実際、外務省官僚として目に見える実績もつくった。北米二課はアメリカとカナダとの経済や貿易の懸案を処理する部署だが、日米構造問題協議、半導体協議、外国人弁護士問題、米国独禁法の域外適用問題などに関わっていた。深夜12時を過ぎるとさらにエネルギッシュになる雅子妃に対して、職場では深夜12時を“小和田タイム”と呼んでいた。

 たとえば、竹下登元首相の日米環境セミナーの基調講演の素案を作ったことがあった。政府要人の外交交渉でも通訳を務め、その通訳ぶりは評価された。

オックスフォード大学ベーリオール・コレッジ入学時(外務省在外研修のため渡英) 宮内庁提供

 前出の同僚はこう見ていた。

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「通訳をしても、ただ言葉だけを追うのではなく、相手の表情や話しかたから何を考えているのか、一歩踏み込んで読み取っていました。心理を読むのに実に敏感で長けていました」

外務省に通勤される雅子さま ©文藝春秋

 皇室入りが決まったときには、こうした華々しい経歴や外交官であった側面は、国民から大いに期待を持たれたのである。明敏で美しいお妃が誕生したことを、国民の誰もが晴れやかな気持ちで祝福したことを忘れてはならないだろう。

雅子妃 悲運と中傷の中で (文春文庫)

友納 尚子

文藝春秋

2008年7月10日 発売