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「ネットで共感される人ばかり書くのは抵抗がある」——脚本家・岡田惠和が語るドラマづくり

2019/08/03

「最後から二番目の恋」や連続テレビ小説「ひよっこ」など、数々の話題のドラマを生み続けている脚本家の岡田惠和さん。最新作、WOWOW の「連続ドラマW そして、生きる」は、有村架純と坂口健太郎が主演のヒューマンドラマ。東日本大震災の気仙沼でのボランティア活動をきっかけに、交差する男女。人生のままならなさをリアルに、深く切り込んだ意欲作である。最新作の話を中心に、ドラマ作りについて語ってもらった。

岡田惠和さん

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「震災とはずっと距離を置いていました」

――「連続ドラマW そして、生きる」は、何を描きたいとまず思われたのですか?

岡田 僕はいつもテーマからは入りませんが、有村架純さんとは何作もご一緒しているので、一段深いところを描いてみたいという思いがまずありました。そこから、有村さんと坂口健太郎くんで人間ドラマを書きたいと思い、彼らがどんな経験をした世代なのかを年表を作って調べてみたところ、一番繊細な時期に震災が起きていた。そこで、大人になる手前、どう生きていくかを考える時期にボランティアとして集い、濃密な時間を共に過ごした二人の出会いを書いてみたいと思ったんです。

――実際に震災ボランティアの方を取材したのですか?

岡田 次男が大学生のときに東北にボランティアに行っていたんです。取材元はそこですね。

――映画『いちごの唄』にも震災が少し登場しますが、いま書いておきたいというお気持ちがあったのでしょうか。

岡田 僕は登場人物の気持ちになって書くタイプなので、震災は、自分のドラマで扱えるようなものではないとずっと距離を置いていました。でも、皆の共通体験としてあった出来事ですし、逃げない方がいいだろうと思うようになりました。そこで、被災者ではなく、距離のあるスタンスならば書けるかもしれないと、震災に初めて触れたのが『いちごの唄』です。がっつり書いたのは今作が最初で最後じゃないかと思います。そのくらい繊細に向き合いたいと決めていました。

「連続ドラマW そして、生きる」で主演した有村架純さん(左)と坂口健太郎さん(右)

――ボランティアの現場に限らず、今回の物語は厳しい現実に切り込んでいらっしゃいますね。

岡田 世界はそんなに美しいことばかりではない。美しい行いも、ともすると悪くとられることがあり得るのが現実です。そういう要素は取り入れようと企画段階から考えていました。ただ、厳しい場面は、書いていても辛かったですね。

――「最後から二番目の恋」を筆頭に、会話の面白さは岡田さんの脚本の魅力の一つ。ご自身でも、会話を書くのは好きと語っていらっしゃいますが、今作は言葉以外で表現する場面が多くあります。

岡田 WOWOWは、「ながら見」ではなく、映画の視聴に近いというか、その番組を積極的に選んでじっくり観てくださる方が多いと思うので、作り手としては密度を込めたい。なので、俳優さんたちのお芝居を信じ、言葉の裏側の気持ちを込めて書いていました。極論ですが、朝ドラなどは、朝の8時にじっくり座ってテレビを観られない方が多いので、ながら見を想定して書いています。もともとラジオドラマから始まったという伝統もありますしね。