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“打撃大好きっ子“だった西武・森友哉が”打てる正捕手”として花開くまで

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/08/12
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“打撃大好きっ子”の変化に驚き

 選手ばかりではない。ファンからも非常に愛されている。当然、その活躍ぶりが人気の一番の要因であることは間違いない。だが、加えて感じるのは、森選手も常にファンを意識しているからということだ。これまで、何度もインタビューをさせていただいてきたが、ファンの方々への感謝の言葉には、一点の曇りもない。数年前、「まだまだ球場で僕のユニフォームを着ている人が少ないので、みなさん、背番号10、森友哉のユニフォームをもっともっと買って、着てください!」と純真に呼びかけた。また、最近も、「試合前にブルペンで捕る前には、応援席を見ています。応援団を中心に『頑張れ〜、頑張れ〜』と応援してくれているのをみて、『あぁ、今日も頑張らんとな』と思って、緊張し始めます」と、声援が力と集中力をもたらしてくれていることも明かした。社交辞令は、ファンも見抜く。だが、森選手の言葉には嘘がない。だからこそ、ファンも惹きつけられ、魅了されるのだろう。

 監督・コーチに認められ、チームメイトから信頼され、ファンに愛される。正捕手としての資格は、もはや十分備わっていると言える。あとは、このまま大きく成績を落とさずにシーズン終了を迎え、“打てるキャッチャー”の称号を、胸を張って受け入れられるかだ。

 打者であれば、誰もが目指しているであろう首位打者のタイトルも十分視野に入ってきた。だが、「考えてないですね。自分はそこじゃないと思う。まずは守り。試合に勝つことが第一優先です」との森選手の言葉に、正直驚いた。彼の変化と成長、また、あれほどの“打撃大好きっ子”をここまで変えた捕手というポジションの奥深さの一端を感じさせていただいた気がした。

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 自身のプロ入り時の目標でもあり、日本球界からも嘱望されていた、真の意味での『打撃型捕手』誕生は間近だ。達成後、どれほどのスター選手になっていくのだろうか。“小さな巨人”のさらなる進化に、限りない期待を抱いてやまない。

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