日本のことを何でもかんでも褒める外人になりたくない
―― デーブさんは、昔の対談で、「日本のマスコミには、“期待される外人像”というものがあって、そういうパターンに知らず知らずのうちに外人は、はめられちゃう。一種のワナみたいになるんです」と語っています。
デーブ 日本のことを何でもかんでも褒めるような外人がいっぱいいるでしょう。まるで観光庁が雇ってるみたいな。そういう白々しいのはやりたくないんです。やっぱり正直にしゃべらないと説得力がないよ。美味しいものは美味しい、そうでなければ美味しくないとはっきり言う。自然体でいきたいと思ってます。
―― 日本の社会問題について発言するにあたって、気を付けていることはありますか?
デーブ 僕のコメントをいろんな人が聞いてるし、ましてや今はネットの時代で、誰の気分を害するか分からない。だから、自分のポリシーとして、決めつけ論をやらない。例えば、いくら学校の先生が悪いことをしたからって、「今の学校の先生は給料ドロボウ」なんて言っちゃダメじゃないですか。悪い先生って、全国に1%いるかいないかでしょう。「今の若者はダメだ」もそう。若者もファーストフード店で一生懸命働いたりしてる。たまにバイト先でふざけた悪質動画を流したりするけど、そうじゃない人が圧倒的に多いんだから。「今の若いやつは……」という言い方が、一番嫌いです。自分のコメントの影響を考えて、受け取る側の気持ちを忘れないことだと思います。
今なら『オールスター反社祭』の方がタイムリーでいいかな(笑)
―― デーブさんは、日本の芸能界のことも詳しいですよね。
デーブ 1984年から35年以上テレビに出ているからね。日本のタレントでもそんな人なかなかいないでしょ。日本の芸能界の伝説的な人物が亡くなったとき、その人のことを語れる人って少ないですよ。僕は、意外と会ったことあったりするから。スタジオを見渡すと、コメントできるのは僕とテリー伊藤だけってことがある。なんか笑っちゃうよね。
―― 今回の吉本芸人の騒動については、かなり厳しいコメントをされてます。
デーブ 今は、テレビの危機です。それなのに、芸能プロダクションとテレビ局が癒着して、バーターなんかやってる。ゴールデンで面白い番組は、『水曜日のダウンタウン』とか、有吉とマツコの番組とか、ごく一部。ほかの番組は、テロップやナレーションがオーバーで、即興性の面白さがなくなってきてる。僕もテレビの世界では長くやってきてるから、責任も感じますよ。吉本の騒動にしても、テレビが好きだから厳しく言うんです。何とかしてテレビ離れを止めたいんですよ。
―― それだけ強い思いがあるんですね。
デーブ 僕は、日本のエンターテイメントにはすごく感謝してます。出会ってなかったら、今の自分もないからね。なのに『オールスター感謝祭』には呼んでくれない(笑)。今なら『オールスター反社祭』の方がタイムリーでいいかな(笑)。
(#2 デーブさんにあえて聞く「YOUは何しに日本へ?」に続く)
写真=杉山秀樹/文藝春秋