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私たち、女子プロレスの味方です。そして、雨宮まみさんのこと

 そういえばいま、寺田さんと一緒に女子プロレスを観にいっているんですよね。

 里村明衣子さんのセンダイガールズですね。日本女子レスリングの星だった橋本千紘のデビューを見に行こうというのがあって。スターダムと後楽園ホールで対抗戦をやったとき、2015年の秋ですね。

 私が趣味で「旧姓・広田さくら公認ファンクラブ」というのをやっていてね。天才レスラーの広田さくらを応援する会なんです。ナンバーの丸パクリで「サクラガ・スキナンダー」という会報誌を作ったりもして。もちろん会報誌は寺田さんにもお渡ししました。私が彼女についてフェイスブックで書いたら寺田さんが反応してくれたので「じゃあ、観に行きますか?」ということになって。

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 柳澤さんが「旧姓・広田さくら公認ファンクラブ」だったのには驚きましたよ(笑)。

 すみませんでした。で、女子プロはどうでした?

 広田は前から面白いと思っていました。で、一緒に行ってしまったという。面白かったですねー!

 寺田さんは、女子プロレスも体の動きから入るんですか。

T やっぱり、体の動きは大事ですよね。フィジカルあっての格闘技なので。センダイガールズだと、カサンドラ宮城というレスラーが、体がどんどんかっこよくなっている。これは、やっぱりプロレスラーとして成長してるからでしょうね。

Y イラストレーターから見て男女で体の動きとかに違いはありますか?

T それはない。ただ、感情が豊かで、ノッてくるのは女子ですね。男子のプロレスは流すこともあるというか、よほどのことがないと、「うわあ」とはならないんですよ。

T 以前ね、ライターの雨宮まみさんと、ある女子選手のコスチュームについて「ああ思う、こう変えたらどうか」という話をチャットでしたことがあるんです。

Y 実はこの本の最後の1行に雨宮さんのことを書いたんです。

T 読みましたよ。オレの友達のライターで、クラッシュギャルズが大好きな子がいますからって柳澤さんに話して紹介したんですよねえ。

Y 去年の秋にも「旧姓・広田さくら公認ファンクラブ」でセンダイガールズに来てくれたんですよね、雨宮さん。一緒にプロレス見て、1週間後に亡くなったんですよ。

左が寺田さん、右が柳澤さん。カバーイラストのポスターを手に。

T はい。

Y その日はもう一晩じゅう、寺田さんと泣きながらチャットをしましたね。

T 飛び飛びでね。「じゃあ、がんばりましょう」っていったあと、またチャットになって。「柳澤さん、まだ起きてますか?」という感じで。

Y はい。メソメソしていましたよね。大の男、50代ふたりが。この本は、UWFだけではなく雨宮さんへの思いも含まれていると思います。

T オレは、雨宮さんを、いつかプロレスから格闘技にも引っ張っていきたかったんですよ。プロレスもいいんですが、いつかガチンコのしびれる試合もどこかで見せてあげたかったと思います。

 

柳澤健

ノンフィクション作家。1960年、東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、メーカー勤務を経て、文藝春秋に入社。編集者として「スポーツ・グラフィック ナンバー」などに在籍し、2003年にフリーライターとなる。07年に処女作『1976年のアントニオ猪木』(文藝春秋)を発表。著書に『1985年のクラッシュ・ギャルズ』(文藝春秋)『1993年の女子プロレス』(双葉社)『日本レスリングの物語』(岩波書店)『1964年のジャイアント馬場』(双葉社)『1974年のサマークリスマス 林美雄とパックインミュージックの時代』(集英社)がある。

 

寺田克也

マンガ家・イラストレーター。1963年岡山県生まれ。マンガ、小説挿絵、ゲーム、アニメのキャラクターデザインなど幅広い分野で活躍中。最近の作品集にアメリカで発売された「DRAGON GIRL & MONKEY KING」(Dark Horse Comics)(日本語版は小学館集英社プロダクション)、「エロメカ」(河出書房新社)などがある。

1984年のUWF

柳澤 健(著)

文藝春秋
2017年1月27日 発売

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