今年(2024年)のNHK紅白歌合戦に歌手のaikoの5年ぶり15回目となる出場が決まった。今月17日には、「花火」に続く彼女のヒット曲「カブトムシ」のリリースから25年が経った。
aikoは「カブトムシ」リリースの前年、1998年7月に「あした」でメジャーデビューした。レコード会社とは当初、このシングル1枚だけのショット契約だったが、彼女の地元・大阪の外資系レコード店でB'zやL'Arc~en~Cielを押さえて売上1位となったことから、アーティスト契約を結ぶことができたというエピソードが残る。
2ndシングルの発売が「だんご3兄弟」と重なり…
もっとも、全国的にはまだ無名であった。2年目の1999年3月3日に出した2ndシングル「ナキ・ムシ」は、ちょうど同日、同じレコード会社からテレビですでに人気だった「だんご3兄弟」が発売され、会社中が熱に浮かされていたためまったく気にかけてもらえなかった。そんな扱いに、来社していた彼女はつい腹が立って「aikoも発売なんです!」と大声で叫んだという。それも続く8月発売の「花火」、さらに「カブトムシ」のあいつぐスマッシュヒットにより笑い話となった。
好きなものを作りたいという思いで生まれた「カブトムシ」
「花火」は発売から3ヵ月をかけてヒットチャートの10位に登り詰め、世間からも周囲からも「次も『花火』っぽいキャッチーで元気な曲が聴きたい!」という期待が高まった。aikoはそれにプレッシャーを感じて悩みながらも、《やっぱり自分の好きなものを作りたい! その思いで生まれた曲が「カブトムシ」という、バラードだったんです》とのちに明かしている(『anan』2023年3月23日号)。
カブトムシといえば夏の虫だが、この曲のリリースは冬を間近に控えた11月。スタッフにその意外性から「11月にカブトムシはどうだろう?」と提案されたとき、aikoはカブトムシが夏の虫とは知らず「何で?」と思ったという。しかし、これがもし、彼女のなかにカブトムシは夏の虫だという固定観念があったなら、四季を通じて恋人とすごした思い出も込められたその詞は果たして生まれただろうか。