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「自然に治るから大丈夫!」が落とし穴 悪化すると”手術”も!?

 自然に治る明確な理由は明らかになっていないが、「時間の経過とともに骨棘の刺激を受けた神経が回復することと、神経が刺激に馴れていくためではないかと考えることもできます」と磯貝医師は分析する。

 自然に治るなら、何も「文春オンライン」が取り上げる必要もないではないか――と考えてはいけない。正しい知識を持たないと、えらい目に遭う危険性があるのだ。

 Kさんのように、症状があるうちに医療機関を受診して診断を受ければ問題はない。いずれ症状が引いていくまでは、非ステロイド性抗炎症薬や神経障害性疼痛治療薬などの服薬で痛みを取ればいい。他にも痛みを発している神経根にブロック注射を打ったり、人によっては「牽引」などの理学療法が効果を発揮することもあるという。

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 ところが、自己診断で「寝違えた」と思い込み、妙なことをすると、事態を悪化させることがあるというのだ。

「よかれと思ってマッサージなどを受けて、悪化させた末に手術に移行するケースもある。自己診断は危険です」(磯貝医師)

 ここでいう手術とは、首を小さく切開し、神経根を刺激している骨棘や周りの組織を削る――というもの。「手術は時としてとても有効な手段」と磯貝医師は言うが、「首の手術」と聞けばやはり恐い。先般発表されたネプチューンの名倉潤のように、手術そのものは成功しても、それに付随する痛みでうつ病を引き起こすこともある、と考えると、なるべくなら手術に移行しないように治したいと考えるもの。

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 そのためには、「頚椎症性神経根症」という読みづらい病名を覚えておき、その可能性がある時は素人診断をせず、速やかに医師の診断を仰ぐべきなのだ。

30~50代は要注意 「寝違えた?」で確認したい5つのポイント 

 もう一つ注意したい点として、頚椎症性神経根症は、たとえ治った様に見えても、疲労や強い精神的なストレスを抱えると再発することが多い、という点だ。ストレスで肩が凝ることはあっても、「痛み」となればちょっと話も違ってくる。ストレスを背負い込むたびに首の周囲が痛くなる人も、この病気の可能性があるのだ。

 磯貝医師は、「寝違えたかな?」と思った時は、次の5つのことを考えてほしい、と呼びかける。

「頚椎症性神経根症」を疑う5つのポイント 

 (1)    首を上に向けると痛む

 (2)    痛みで首を動かせない

 (3)    腕全体に痛みとしびれが出る

 (4)    肩甲骨の内側が痛む

 (5)    痛む部位を押しても痛くない

 特に(4)の「肩甲骨の内側の痛み」は、他の疾患ではまず出ることのない、特徴的な症状だという。

 ちなみに、好発年齢は「30代~50代」。

「不思議なくらい、きれいにこの年代に収まるんです。若い人は神経が丈夫だし、高齢者は神経に“たるみ”が生じるので、骨棘の刺激を受けにくくなる。つまり、神経がそれなりに劣化してきて、それでもまだ“ハリ”がある年代に起きやすい痛み――ということができるのかもしれません」(磯貝医師)

「頚椎症性神経根症」という病名を覚えるのが大変だという人は、せめて「寝違え」とよく似た別の疾患がある、ということだけでも覚えておいてください。