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連載『めちゃイケ』、その青春の光と影

最終回から1年 『めちゃイケ』片岡飛鳥の告白「山本圭壱との再会は最後の宿題だった」――2019上半期BEST5

フジテレビ・片岡飛鳥 独占ロングインタビュー#1

山本圭壱は「やり残している宿題」

<では、片岡は22年もの長い間続いた『めちゃイケ』の終わらせ方をどのように考えていたのだろうか。また、その終わりを意識し始めたのはいつ頃からだったのか。>

 どんな番組でも長い期間続けば、スタッフが代替わりしていくものだと思うんですよ。『いいとも』だろうが『スマスマ』だろうが『みなさんのおかげでした』だろうが、スタッフが受け継いでいく。でも、うちは、僕が人事異動で演出を離れた時期だとか紆余曲折はありながらも、基本的にはスタートアップした僕が総監督という立場で続いてきた。だから2014年に人事異動でもう1回制作に戻ったときぐらいからは自分の役割として、『めちゃイケ』のたたみ方、エンディングという未来を意識しながら番組を作らなきゃいけないんだろうとは頭の片隅で思い始めていました。

 その中で、一個だけ気がかりに思っていたことが、極楽とんぼの山本(圭壱)のこと。岡村(隆史)がいい表現をするなって思ったんですけど、「『めちゃイケ』がやり残している宿題」だと。それがまだ提出できていないと彼は言っていて、僕もそのとおりだと思った。『めちゃイケ』という幸せな番組は、ありとあらゆる楽しいこと、やりたいことをやらせてもらってきたから常に後悔はないんです。ところがただ1つだけ、山本のことだけがずっと心の中に引っかかっていたんです。

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<山本圭壱は、2006年7月17日、未成年女性との飲酒及びみだらな行為が発覚し、所属事務所から解雇通告を受け、番組からも姿を消した。時間を経ても「許せない」という世間の声が少なくない中、1人残された相方の加藤浩次は「極楽とんぼ」というコンビ名を名乗り続けていた。
 そして、2016年7月30日放送の「夏休み宿題スペシャル!!」内の「ゴクラク少年愚連隊」で『めちゃイケ』の画面に10年ぶりに姿を現す。山本を前にした加藤は、スタッフや関係者の尽力に感謝しながら「この状況、当たり前じゃねえからな!」と説教。この再会ドキュメントは歴史上、メンバーたちが最も涙を流したオンエアとなった。>

 最初に言っておきますけど僕自身も「許せない」という感情を10年間持っていました。それでも山本に再会するというのは自分の中の矛盾でもありました。もちろん世間のハードルも高かったし、賛否両論すさまじかったですけども、たぶんそれをしないと、『めちゃイケ』はずっと「。」がつかない。ずっと「、」のままで文章が続いていない状態だったんです。その後はどうなるかわからないけど、とにかくそれをしてみないと見えるべきものも見えてこないなあと思って。

山本圭壱の事件及び脱退は好調だった番組に大きな影を落とした