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ドラマを観ること自体が「オタク化」してきている

森下 ありました。たとえば、今回のドラマでは「オタク」をテーマにしていますが、もはやドラマを観ること自体が「オタク化」してきているのではないか、とも感じています。私には中学生の娘がいるのですが、彼女が小学生だったときにクラスの子たちに聞いてみたら、ドラマよりもアニメの方が圧倒的に観ている子が多かったんです。少なくとも、彼女たちの世代では、ドラマを観ている人のほうが「ドラマオタク」と言われるんじゃないかな。私たちは昔、アニメを観る人たちを「アニメオタク」と言っていましたが、実はもうここは逆転しているのではないか、という実感があります。

栗本ハナ(白石聖さん、左端)が所属する地下アイドルグループ「サニーサイドアップ」 ©NHK

――なるほど。今ではアニメの方が、若い世代の日常になってきている、と。

森下 より近しい存在ですよね。でもそれはいろんな業界で起きていて、音楽で言えば、AKB48や乃木坂46のようなアイドルが好きというのも、もう普通のことですよね。一方で、今や洋楽好きの人の方が、オタクと呼ばれるようになってきている。私が若かった頃は、洋楽に追いつけ追い越せという文化があって、みんな頑張ってそれがメジャーだって聞いていたところがあるんですが、そのような価値観は今と昔ですごく変わってきている気がします。そうした新しい世代へ、どんなドラマを届ければいいのか。これは私だけでなく、業界全体が真剣に考え始めている問題だと思います。

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写真=末永裕樹/文藝春秋

森下佳子(もりした・よしこ)
1971年大阪生まれ。東京大学文学部宗教学科卒業。2000年『平成夫婦茶碗』(日本テレビ)で脚本家デビュー。『世界の中心で、愛を叫ぶ』『白夜行』『JIN-仁-』『義母と娘のブルース』(以上、TBS)など、話題作を多数手掛ける。2013年度下半期に放送された朝の連続テレビ小説『ごちそうさん』で、第32回向田邦子賞と第22回橋田賞を受賞。2017年には大河ドラマ『おんな城主 直虎』(NHK)の脚本も手掛けた。